第4話 いろ遊び
花だって大人の仲間入りをしてもいい頃、色恋沙汰のひとつやふたつ、…ありません、すみませんです、ごめんなさいなのでした。
えっちいのにも興味はあります、妙に興奮していたのを恥ずかしげながら回想します。
入って、出てる…ぱんぱんぱんっ?
ストレートすぎます!!もっと、ほわあっとしたもの、そこはかとないものはないんでしょうか?!
…ミュージアムに求めてみましょうか…!
芸術ならば、包んでくれているはずです。
優しく、なでなで…じゃなかった、教えて諭してくれるはずなんです。
果たしてありました、"クリムト"さん!
官能!かんおう!愛の!エロス!
でも強烈でクラクラきますね、この絵画たちは〜
いろがきらびやか…
日本的にも見えてしまいます。
アフロディーテの『春』もおー、と眺めてしまいます。
思わず拝んでしまいました。
よき愛をわたしにもたらしたまえ…!
なむなむなむなむ…
なんか違うとはうっすら寒々思いながらも、正式がわからないのでわたし的です。
さて帰ろうとしたところ。
"いろでお遊びくださいませ"
色鉛筆や絵の具じゃありません。
色砂絵ができるのでした。
見本にと飾ってある絵が夜空を神秘的に映していてなんともかんともいかんしがたく。
もう一枚はチベットのマンダラ、とだけ。
それがとても…美しいのでした。
カラダの奥底からわきおこるものがあります。
いろとすなとはひとえにまくものゆえに
試しに少しだけ、やってみましょか。
さらさらさらさらさらさらさら
すなのかんしょくがきもちいい
てやゆびでつくりだすかんかく
ほっとするいろのくみあわせが
とりどりさきいでてひろがって
しんみりきらきらたかまりだす
しんみょうじゆうにかきいだす
はいおつかれさまでございます
どうしてこんなものをつくったのだろう。
「面白くないぞ」
!!!
振り返れば、ことりちゃん。
とてもしっかり値踏みするように、じっくりわたしの絵を観察してます。
「…才能、無いですか?」
「ん?面白くない、と言ったのだ」
どういうことでしょう。
「楽しく無いですよねー、わたしの」
「いや、楽しいぞ。ただ、面白みが足りないのだ。はなは、もっとドーンと」
「ドーンと?」
「いっちゃったしたほうがいい」
ええええええええええええええええええええええ
わかりません、混乱しました、パニックです。
芸術は爆発だ!、そう言いたいのでしょうか?
それともハメを外しなさいよ、とか?
もっと高めて!できるはずだから、???
「それは、どういう…」
あれ。
見れば、もう離れていることりちゃんが。
ん…?
今日のことりちゃん、黒でおしゃれでお化粧っぽさがあって、なんとなくセクシーというか、艶っぽい。
くぅぅぅぅぅぅ!
負けています!
よく理解できない類の負け方なのです!
いやだ!いやです!ダメなのです!
目の前の絵を、一心不乱にこちゃこちゃと。
猛烈な勢いで、かきちらすのです。
そうでした、描くのではなく、書くのは意外と得意でした。
そこにすきが、あるんです。
「できたっ…」
それぞれの色が、なんとも言えず…せまっていきています。
みていて、幸せな気分になりました。
「うーん」
どちらが発した言葉でしょうか。
いつのまにやら覗き込んでいた学芸員さんが、
「これ、写真にとって飾ってもいいかい?」
えっ。
「しばらくの間」
…それならいいです。
「謎の少女Aにしといてくらさい」
舌が回ってませんが
外へ出ると、スマートグラス越しには、成層圏まで雲の連なりが見透かせて、グラデーションが鮮やかで、大満足な日となりました、まる。
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