202010 ジャパロボ チーム祐奈2-8

渋谷かな

第1話 チーム祐奈2-8

「よし! いくぞう!」

 麻衣は東北ブロックに取り掛かる。

「・・・・・・。」

「あれ? ゾンビの声がしない。」

 しかしゾンビたちの掛け声が聞こえてこない。

「zzz。」

 騒いで疲れたゾンビたちは眠りについた。

「子供みたいに寝ちゃって・・・・・・。よし。あとひと踏ん張りするぞ。」

 麻衣はゾンビを起こさないように小さな声で気合を入れる。

「福島県代表、原発ジャパロボ。パイロットが伊東玲奈。」

「宮城県代表、伊達政宗ジャパロボ。パイロットが福原京香。」

「山形県代表、お米ジャパロボ。パイロットが新米掘子。」

「秋田県代表、なまはげジャパロボ。パイロットが渡部希。」

「岩手県代表、コロナ感染者が一番遅かったジャパロボ。パイロットが大谷エリカ。」

「青森県代表、りんごジャパロボ。パイロットが大間ケイ。」

「よし。できた。」

 麻衣は東北6都道府県を終え46都道府県を制覇した。残す都道府県は1つ。北海道だけである。

「ここまで長かった。誰も私の代わりにはやってくれない。いつも誰かが地道にやってくれていたんだ。今度は私がやる番だ。絶対に目標を達成するんだ。」

 ハートに最後の炎が燃え盛る麻衣であった。

「やはり東北や北陸、中国地方の日本海側とか東京に出てくることが中々難しいのね。まったくいないんだもの出身の芸能人が。」

 やはり大都会に近い県の方が出身者は多い。

「まさに、恨むんなら生まれの不幸を恨むがいいね。」

 芸能人になるのも大変。知名度をアップさせるのも大変。多くの人が売れもせず見えない所で悪い大人に遊ばれて消えていくのだろう。そんなこととは知らないで私たちは、そういう悪い人たちが作っているテレビ番組を見て笑っている。

「世知がない世の中ね。せめて私は私の手の届く範囲の人達ぐらいは守ってみせる。」

「zzz。」

 麻衣は寝ている祐奈と愉快なゾンビたちを見つめる。

「zzz・・・・・・もう食べれませんって・・・・・・これ以上は飲めませんって・・・・・・お客さん、お触りは禁止ですよ・・・・・・zzz。」

「祐奈教官は、いったいどんな夢を見ているんだ?」

 少し疑問を抱く麻衣。

「こんな人たちばかりだけど、みんなが私の仲間です。私は仲間のために自分ができることをやりたい。私はこれまでもやってきた。これからも私はやればできる子だ。おお。がんばるぞ。」

 麻衣は自身を鼓舞するのであった。

 つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

202010 ジャパロボ チーム祐奈2-8 渋谷かな @yahoogle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る