第2話
あの告白から一ヶ月が過ぎようとしていたある日曜の朝、俺は久しぶりにバイトがなく、気持ちよく寝ていた。
久しぶりに?
そう、俺はユリに振られた日から、ほぼ毎日の様に学校が終わると直ぐにバイト先に向かい仕事をしていた。
そうでもしないとユリの事が頭から離れないでいたから‥‥‥。
そんな俺が気持ち良さそうに寝ていると、
「お兄、お兄ぃ!、起きなさいよお兄!」
「むにゃ‥‥‥なんだよ(まだ寝ぼけ)ナナミ‥‥‥」
「朝ご飯出来てるよ!」
「‥‥‥朝ご飯?むにゃ‥‥‥いらない、寝かせてくれ‥むにゃ‥‥‥」
「もおう!早く起きなよ!朝ご飯て言っても、もうこんな時間なんだよ!」
妹のナナミがいつの間にか、俺の部屋に入って俺を起こそうと、ベットで寝ている俺の体を両手で揺さぶる。で、最初は軽く揺さぶっていたが、なかなか俺が起きないものだから、
「お兄!お兄ぃ!、もうー!」
今度はおもいっきり体を揺さぶるもんだから、俺はベットから、ナナミの足元にドスン!と落ちた。
「いっててて、な、なにするんだよナナミ!」
「だってこうでもしないと起きないでしょう!」
そう怒りながらナナミは俺を仁王立ちしながら上から目線で睨んできた。で、ナナミの顔を見たらかな〜りご立腹していたみたいで、これは反抗的な事言うと後が怖いなと思い、頭をかきながら起き上がろうとすると、俺の目にある物が飛び込んできて、思わず
「おっ!今日はピンクか」
と言ってしまったのが後のお祭り。
ナナミは最初「?」とした顔をしたが、俺の視線が、ナナミの履いたスカートの中にいっているのがわかると、急に顔を赤らめて両手でスカートを押さえると、
「‥‥‥ハアッ!///、お、お、お、お兄のばかっああああ!!!///」
俺の体に足蹴りをいれてきた。
ナナミの足先が俺の腹の溝に「ドスッ!」と入ったもんだから、
「ガアッ!」
一声出ると、腹を両手で押さえてうずくまってしまった。
で、俺を蹴った本人はと言うと、
「お兄のエッチ!スケベ!女の敵!」
なんて、お約束どうりのセリフを言ってきますよ。
ほっんとに、この性格がなければ良い妹なんだけどな。因みにナナミは中2にしては可愛い方である。髪は学校の規則で三つ編みにしているので、三つ編みをほどくと髪に軽くウエーブがかかった様になり、更に可愛さが増す。おまけにスタイルが中2離れしたスタイルだ。
まあ簡単に言えば、巨乳美少女的な存在。
みんなからは、羨ましがられるけど、俺はただの妹しか感じなかった。
そんなナナミは、鬼の様な形相で、
「お兄!私との約束忘れたの!(怒)」
「‥‥‥てっ、うん?約束?」
「そうよ!来週、私の誕生日だから、バイト代が入ったら、今度の休みに何か買ってくれるて!(更に怒)」
「‥‥‥あっ!そうだった!で?‥‥‥」
「で?、て。そう!今日がその日!」
俺はナナミとの約束に気がつくと、急いで着替えた。そしてナナミに今の時間を恐る恐る聞くと、「もう10時回っているわよ!」とお叱りを受けました。
俺は急いで一階に行くと、母さんの挨拶もそっちのけで、用意された朝食を急いで食べると、また自分の部屋に駆け上がり、着替えると玄関へと向かう。
えっ?、何でそんなに急ぐかって?。
そりゃあ、あんな蹴り1日に二回も入れられたら、俺、一日中ベットで唸ってないといけなくなりますからね。
で、玄関に行くとすでにナナミは待っていた。俺はまだ怒っているんだろうなと、ナナミの顔色を伺うと、先程の鬼の様な形相ではなく、なにか別人の様な顔でいた。
「ナ、ナナミ。ゴメン。約束忘れていた」
「まったくよ!罰として私の好きな物買ってもらうからね」
「ウッ、わ、わかったよ(さからったらあの蹴りがとぶからな)。けど‥‥‥」
俺が言葉を詰まらせると、ナナミは「どうしたの?」と聞いてくる。が、俺はその後の言葉が出ないでいた。
『だってねー、今日のナナミ、何だか別人みたいだしね。チック柄のスカートに茶色のロングブーツを履き、上は黒い服にグレーのガーデンを羽織り、軽く化粧をしているものだから、何だか、何だか、今日のナナミは‥‥‥』
「‥‥‥大人びて、綺麗だ」
俺は歩きながらフッと呟いた。
そんな俺の言葉にナナミは、「うん?」とした表情をすると、俺に
「何が大人びたの?」
「えっ///う、うん、な、何でもない///うん、何でもないよ///」
俺は照れているのがナナミに分からない様に、ナナミとは反対側を向いて話します。
『どこ向いているのよ、お兄は。私、この日を楽しみにしていたんだからね。けど‥‥‥お兄は私と居て楽しくないのかな‥‥‥』
ナナミはそう心の中で寂しそうに呟いた。
そんな事をナナミが思っているとは知らず、俺は‥‥‥
『ナナミは妹なんだ兄妹なんだ。俺はナナミを妹としか考えてない、思ってない。それに‥‥‥俺はユリの事が‥‥‥たとえ血の繋がりがないナナミが俺を好きでいても、俺はユリの事が好きなんだ‥‥‥』
そう心の中で呟いていた。
が、この後ヒロトとユリの運命の歯車は、また回りはじめる‥‥‥。
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