&α 19:00 起きてからの会話

「ふああ。おはようございます。いま何時ですか?」


「えっ。あっ。あっあっ」


「うん。え。なにこれ。えっ」


「あ。あああ。うわああっ」


「なんか身体が痛い。痛いんだけど」


「あああっ」


「いだだだだ。締めつけてる。しめつけてるよ。折れる。折れるよ。痛いから。ちょっと待ってよ痛いよお」


「ばかじゃないのほんとにっ」


「え。なに。なにこれ。いだだだだ」


「あんた。ほんと。大概にっ」


「ストップ。痛いから。おねがい。俺のが折れちゃう。ないなっちゃう。ね。待って。ね。ないなっちゃうから」


「あんた。なにをしでかしたか。わかってるんでしょうねえっ」


「なに。しでかした?」


「あんたっ」


「え。俺、なんかしました?」


「このおおお」


「いだだだ。抱きしめる力ま強すぎる。死ぬ。背骨折れる。根っこも折れる。二重に死ぬよお」


「記憶ないなったのね」


「記憶。なんの?」


「寝る前の記憶。ある?」


「寝るってか。普通に仕事の帰りだけど」


「どこまで覚えてんのよ」


「どこまでって。普通に帰ってきただけの気がする」


「そすか」


「そすそす」


「じゃあいいわ」


「よいしょっと」


「だめ。動くの禁止」


「え?」


「禁止。動いちゃだめ。いまからわたし、諸々の所に電話しないとだから。何よもう。死亡診断書とか役所に出す届とか、書いちゃったわよ。危なかったわ。あなた殺すところだったわ」


「え。どゆこと?」


「あなたは知らなくていいのよ」


 にゃあ。


「あ。猫ちゃん。いい。あの生き返ったやつが動かないように、見ててね?」


「なんで猫いんの?」


「わたしが知りたいわよ」


「俺、飼うなら犬がいいんだけど」


「そりゃあそうでしょうねえっ」


「なんで怒ってんの。ごめんて。ごめんなさい」


「怒ってないわよっ。うれしいですっ」


「(怒っとるやん)」


「今日は寝かさんからな。一晩中、いや、一日中。二十四時間耐久で抱きつぶす」


「うわあ。俺のタンパク質がないなってしまう」


「ないなってしまえ。ちくしょうめ」


 にゃあ。

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