第15話 次のちほーへ





───パチパチ...パチパチ...


『マスター、後三十分で日が登ります』


「了解?イッカクはまだ起きないだろうから...」チラッ...


スヤスヤ...スピー...


…寝顔...可愛い過ぎやしません?


ハル達はステージを出発した後、森の中に

あった開けた場所で一夜を明かしていた...


「とりあえず車にガソリンを入れるか...」


ハルは立ち上がり車のドアを開ける...


パカッ...ギィィ...スヤスヤ...バタン!


「......んん〜あれ?おかしいな...」パカッ...


ハルはもう一度ドアを開ける...


スヤスヤ...スヤスヤ...


…えぇ...誰か寝てるんですけど...


「まぁ...いいか?朝になったら流石に居なく

なってるでしょ...給油口探そう...」


十五分後...


トクトクトクトク...


「まさか探すのにこんな時間取るとは...」


『マスター、私に聞けば良かったのでは?』


「考えてなかった...それよりもまたハッキン

グされたんだろ?コードは編み直した筈...」


『考えられる要因は複数ありますが...可能性

が高いのは相手が上の存在である事です』


「上の存在...ねぇ?対策しようが無いな...」


『幸いな事に、縛りプレイを強要されるだけ

で特に害は無い様ですが...』


「その縛りプレイが足枷になる時が来るかも

しれんなぁ...ま、その時は何とかしよう...」


ピピッ『給油完了、外して下さい』


「あいよ...ん?」


───ガサゴソ...ガサガサ...じー...


…なんか視線を感じる様な...気のせいか?


「...あれ?中で寝てた子...何処行った?」


タッ...タッ...タッ...タッ...


「...誰だ?」(ホルスターに手をかける...)


「ふあぁ...ハル、おはよう...」ゴシゴシ...


「なんだ...イッカクか...」サッ...


「...ハル?どうかしたのか?」


「ん〜...いや?なんでもない...」ポリポリ...


「...?」


*



「さて...朝食でも食べるか...」ブォウン...


…何作ったっけ?朝に食べる物あるかなぁ...


「ん〜フレンチトースト...決定っと...」ポチッ


目の前にフレンチトーストが出現する。


「これはなんていう食べ物だ?」


「フレンチトーストさ。食パンの上にベーコ

ンと目玉焼きが乗っていて...まぁ食べたら分

かるさ...」


「そうか...(サクッ)おぉ!これは中々美味い!

...何をやっているんだ?ハル...」モグモグ...


「え?あぁ...コーヒーを入れようかと思って...」ガチャガチャ...


「コーヒー?美味いのかそれは?」


「そうだな...イッカクには不味いかもな...」


「そうか...ん?」


「イッカク、どうした?」


「いや...草むらの向こうに何かが...」


「何...?おい!誰か居るのか!」


ガサガサガサッ...ぴょん...テクテクテク...


「ボスか...?って、今まで何処に...」


『......』ピロピロピロピロ....


「おーい、ボス?」コンコン...


『始メマシテ ボクハ ラッキービーストダヨ

ヨロシクネ。』


「...は?」


『君ノ名前ヲ教エテ』


「ボス、何を言って...」


『君ノ名前ヲ教エテ』


…どういう事だ...?前に会った筈じゃ...


「ハル、ボスは沢山居るんだ。」


「...え?そうなの?」


「あぁ、どのちほーに行ってもボスは必ず

居るんだ...何故だろうな?」


…あ、ボスことラッキービーストはパークの

案内ロボットだという事を忘れていた...

一匹だけだと思ってた自分が馬鹿だったわ...


「にしてもなぁ...」チラッ...


…最初に出会ったボスより言葉がカタコト

なんだよな...気のせいか...?


「それじゃ改めて...俺はハルだ、ボス。」


『ハル ダネ?君ハ何ガ見タイ?』


「此処から次のちほーへ向かうんだが...」


『此処カラ近イノハ 雪山チホーダネ。

天候ヲ考慮スルト 約六時間程ダヨ。』


「...それは徒歩でか?車でか?」


『車デ移動シタ場合ダヨ。』


…え、それマジで言ってんの...遠くね?


「まぁ、今が...何時だ?あぁ、ピピッ『現在の時刻は6時42分です』

6時だから12時、昼ぐらいには着くだろ...」


「ん?もう出発するのか?」モグモグ...


「いや?もう少し準備してから...って...」


…イッカクさん?なんで俺の分食べてるの...?


「...? 何か私の顔に付いているのか?」


「ナンデモナイデス...(棒読み)」


*



新しく取り出した朝飯のフレンチトーストを

食べて、ハルはある事を確認していた...


タッ...タッ...タッ...タッ...


「よいしょ...ボスこの車は運転出来るか?」


『チョットマッテネ...』ピピピピピ...


「どうだ?運転出来るか?」


『残念ダケド...コノ車両ハ運転プログラムガ対応シテナイヨ...』


…うーむ...やっぱり運転出来ないか...

まてよ...そう考えると最初に出会ったボスは

何故運転出来たんだ...?


「対応してるのが考え着く先だが...軍用車両

に対応しているのは案内ロボットにしては高

スペック過ぎるんだよなぁ...」


その後、ハルはモヤモヤが取れないまま出発

までの準備を終えた...


「さてと...持ち物は積み込んだか?」


「あぁ...こっちは準備完了だ、いつでも行けるぞ。」


「ボス、ナビゲートは出来るか?」


『ワカッタ 推定六時間ノ雪山マデノナビゲー

トヲ実行スルヨ 安全ニ運転シテネ。』


…おい、余計なお世話だその言葉は...


「では...雪山に出発だ!」


ブォウン! ブロロロロ...


ハルはエンジンを掛け、車を走らせる...


…ガサガサッ...ひょこっ...


「すごいや...あの箱やっぱり動くんだ...」


謎のフレンズが草むらから顔を出している...


「それにしても...」チラッ...


───はわ〜...クリーミィ〜...スヤスヤ...


…この子はいつまで寝てるんだろうなぁ...



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