24─再会─
オーギュストは剣を振る。炎は友であった。昔から父と同じ炎の魔力を持つ彼にとって熱さとは無縁で。
だからこそオーギュストとドラゴンは対峙出来た。大きい翼を広げたドラゴンはオーギュストを牙や爪、翼や炎で襲いかかるが、どれもオーギュストに防がれる。
だがオーギュストの剣もドラゴンの爪や牙、尻尾に翼等で弾かれ、何の手も出せない。
それでもオーギュストは止まることなく。鎧に浮かぶ炎が消えることは無かった。
絶対に殺すと殺意を乗せた重い剣をドラゴンに当て続け、オーギュストは夢を見たのかと目を見開く。
「ルベリオンっ!?」
二本足で変わらず立っている腐れ縁の友は唖然とドラゴンを見上げ、その隣には何故かあの白い少女が
一瞬死んだ者が見えたのかと思ったがあのルベリオンの気の抜けた顔はどう考えても本物で、その隣の少女も間違いなく先程村の跡地で見た少女だった。
気が逸れた一瞬をドラゴンは見逃すことは無く前足で露出された地面ごとオーギュストを蹴りあげる。
「オーギュスト!」
何度か転がって止まる。直ぐに立ち上がりオーギュストは背中に血が流れた感覚があったが、自然と口元が緩んでいた。
鎧を着ていてよかったと心底思いながらもなぜ、笑えてしまうのかはわかりきっていた。
───生きていた。ルベリオンが。
ならば恐らく彼の家族も助かり、行方不明の者達も全員じゃなくとも助かるだろう。
戦いの中でもほっとしながらオーギュストは剣を打ち込む手を緩めることは無い。数度撃ち合うとルベリオンも直ぐに魔術でドラゴンへ攻撃を行う。
ルベリオンは白がとけたことで調子を取り戻したのか幾分か顔色が良く、そして天才たる所以の魔術を行使する。
風があった。
オーギュストに迫り来る尾を弾いた。
土があった。
オーギュストに向けられた足を土が覆い固める。
水があった。
オーギュストへ向けられた炎が触れることなく消火される。
彼は天才だった、紛うことなく。
そしてその間もオーギュストへ身体能力向上や剣を強化など行っていた。
苦しげに唸り声をあげるドラゴン、まるで昔からそうしてきたかのように息をするように自然と共闘するオーギュストとルベリオン。
そして、赤い鳥を乗せた白い少女。
長い時の果てがそこにあるのだろう。
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