濡羽色の魔女
夕凪あすか
Prologue
プロローグ
2050年現在。
再生医療とサイボーグ技術の発展により、人々の健康寿命は
このように科学技術の進歩は人々の生活を変え、新たな希望を与えている。その一方で、深刻な問題を世界で引き起こしてもいる。世界保健機関(WHO)は「再生医療の発展により、世界の
サテライト太陽光発電システムについても大きな問題が存在している。サテライト太陽光発電システムの
サイボーグ技術の発展は戦争の歴史と言っても
日本は国内での大規模テロを
これは2021年に日本国内で発生した同時多発テロの発生を受けたものである。発生したテロは生物兵器「ミスト」によるバイオテロであった。標的となったのは東京、大阪、広島、福岡である。犯人グループは通勤時間帯の主要公共交通機関に生物兵器「ミスト」を
日本で発生した同時多発バイオテロはこれが初めてであった。公安の手によって、ミストの
国家特別公安局は先のような国内テロを
国家特別公安局には次のように第一課から第七課の七つの課が置かれている。
《国家特別公安局(National Special Security Agency)》
第一課:総務省情報整備局情報処理課
第二課:法務省公安調査庁第六調査部別室
第三課:外務省国際情勢調査局
第四課:国防省中央情報本部統合戦略情報局
第五課:厚生労働省生活局義体安全対策課
第六課:内閣
第七課:内閣情報調査室
私は私は三年前、
「君は相変わらず美人だね」
記者Kは久しぶりに私に会ったことを喜んでいた。私と彼はゆっくりと話をするため、個室のある飲食店に入ることにした。個室というのは彼の
当時、記者Kは公安警察について調べていた。彼にとってはかなり
「この書類は警視庁の公安部に関する幹部向けの人事異動名簿のコピーだ。見てくれ」
彼はそういって、ある一人を指さした。
「
記者Kの言う通り、どこからどう見ても〇だ。異動先が〇と書かれている。記者Kがどうやって機密文書を手に入れたのかは分からないが、確かにこれは何か隠されているように考えられた。〇は何かの
「この丸印は警視庁の
記者Kはそういった。彼の言葉を聞いて私は聞き返した。
「レイカって何? ああ、もしかして都市伝説の
「零課は都市伝説じゃない。本当にあるんだ。話したいことがまだある。これを見てくれ」
次に私は写真を見た。日付が左上に印刷されている。2021年4月28日8時23分04秒。写真は空港に設置されている、監視カメラが
「本当は映像データを手に入れたかったんだけどな。無理だった。ただ、音声データは手に入れた。聞いてみてくれ」
彼は携帯端末を取り出し、音声データを再生した。
『公安だ! ここから離れろ! くそっ、
男性の声だ。日付と状況から
「状況から分かる通り、彼はおそらくミストの拡散を防いだ
「公安警察ってそんなものじゃない?」
私は彼に尋ねてみた。
「まあ、そう言われたらそうかもしれない。あいつら秘密主義者だからな。仕事なんだろうけど。ただ、俺はこの男が普通の公安ではなく、零課の課員だと思う。それも〈警視庁の零課〉じゃない」
「それはまたどういう意味?」
「〈国家特別公安局の零課〉さ」
記者Kによると、国家特別公安局には第零課なる非公式部署があるという。その
では非公式である警察庁警備局警備企画課が
記者Kは続けて、警視庁にも非公式部署として公安部公安第零課があると力説した。警視庁といえば東京の治安を守る警察本部で、他の都道府県警察本部にはない公安部を置いている。その警視庁に公安零課があるという。ただし、それは警視庁の零課であって、国家特別公安局の零課ではない。彼の話を整理すると国家特別公安局には非公式だが、警察庁警備局警備企画課が存在し、警視庁公安部には非公式だが、公安第零課があるということだ。
彼が言いたいのは、その二つの部署とは全く違う非公式組織が国家特別公安局にあるということだ。なぜ彼がこんな回りくどい言い方をしたのかというと「これら二つの部署が真の零課の隠れ
記者Kの話をもう一度整理すると、本当の国家特別公安局は次のような構成になっている。
《国家特別公安局》
第零課:公式上、存在しない
第一課:総務省情報整備局情報処理課
第二課:法務省公安調査庁第六調査部別室
第三課:外務省国際情勢調査局
第四課:国防省中央情報本部統合戦略情報局
第五課:厚生労働省生活局義体安全対策課
第六課:内閣
第七課:内閣情報調査室
第八課:警察庁警備局警備企画課(公式上、存在しない)
※警視庁の公安部公安第零課、警察庁の警備局警備企画課ともに
記者Kは零課の存在について
「太古より日本に存在した秘密組織だよ。〈
一通り零課についての話をした後は、各国の
私がその零課の課員でなければ「
そう。私は
私の名は
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