星剣と乙女~貴方とならやっていけるっ!~

一ノ瀬 彩音

第1話 壱

私はいつから此処にいるの?


どうして此処にいるの?


何故、私は此処にいないといけないの?


私にはよくわからないのです。


「汝よ、我と契約する気はあるのか?」


「………………」


「おいっ、聞こえているのか?」


「………………」


「無視するなぁぁぁぁああああっ!?」


「はっ!? 私どうしていたの?」


「やっと起きたのか」


「貴方は誰なの?」


「貴方は誰なのじゃねぇよっ!! 人と話している時に、

眠るヤツが何処にいるんだよっ!!!」


「は~い、ここにいますよ~」


「あんまり俺を舐めると契約してやらねぇぞ」


「あ~、それは困る、困るからやめてよね」


私は思い出すのでした。


そう、私は今からある者と契約を交わそうとしているのです。


私のお名前はビリングス・セティーナです。

こう見えてもまだ20歳です。


貴族でもあるビリングス家の貴族令嬢なのですけど、

父であるビリングス・ゼッター45歳からある者と契約して来い言われ、

私は今、ギリジェ山という山にいるのです。


山と言っても山の中にあるダンジョンに来ているのです。


ダンジョン名はギリジェドゥです。


『何でこんな山に来てまでこんな事をしないといけないのかなって

思うのはきっと私だけだよね』


私の母であるビリングス・イティーナは

私が幼い時に、病で倒れて亡くなっているのです。


「契約するのか? 契約しないのか?」


「契約するに決まっているでしょっ!!!」


「ならば、始めようか」


ある者と契約とは星剣グリスマラバーです。


星剣グリスマラバーと契約する事で飛躍的に私の能力が上がるのと同時に

星剣グリスマラバーを扱えるようになるのです。


『しっかりと契約しないと父に怒られるし、本当に何でかなって

思い始めているのです』


「確か契約する方法ってキスでいいのよね?」


「そうだ」


私はゆっくりと星剣グリスマラバーに近づいて、

そのまま星剣グリスマラバーにキスするのです。


そうすると私と星剣グリスマラバーが光り輝き出して、

一定時間後になると契約が終了となるのです。


「契約は完了だ」


「それよりも剣が喋るって不思議よね」


「何故そう思う?」


「私がね、剣とお話している事自体が可笑しいよね」


「嫌々っ、喋る剣がいても不思議じゃないし、

お前も可笑しくないぞ」


「ふぅ~ん」


「もう契約終わっているし、帰ろうかな」


「あ~、そうしような」


私は星剣グリスマラバーと共にギリジェドゥから出ると

もう夕刻なのでした。


『随分と時間がかかってしまったわね。

早く帰らないといけないわ』

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