友達でも恋人でもないのなら。

ニシマ アキト

スーパーアサクラギャラクシー

 私は昨日、宇宙人みたいな人に出会った。


 宇宙人みたいな人って、それはもはやただの宇宙人だろというツッコミは一旦さておいて。


 宇宙人とはつまりエイリアンのことで、エイリアンの本来の意味は異質という意味だからつまり、私にとっての宇宙人みたいな人っていうのは、私の目に異質なものとして映る人のことを指す。


 そして私にとっての宇宙人みたいな人っていうのはたとえば、浅倉あさくらという女の子のことを指して言うことがある。


「昨日、椎名しいなさんに床に押し倒された」


 今朝、わたしがあくびを噛み殺しながら下駄箱で上履きを取り出していると、浅倉はだし抜けに身も蓋もなくそんなことを言い出した。まだ4月でクラス替えがあったばかりで、私は浅倉と一度も話したことがなかった。つまり私と浅倉との記念すべき第一回目の会話が、こんなわけのわからないセリフから始まったというわけだ。


「え、いや、押し倒してないけど」


 その浅倉のセリフに対してわたしはこんなつまらない返答しかすることができなかったのだけど、どうせおもしろい返答を小一時間かけて頑張って考えたところで出てくる言葉は変わらなかったので、要はそのつまらない返答によって浅倉は微妙な表情になってしまったけどわたしは全く後悔していないということ。


「いや現実世界の話じゃなくて、夢の中で。昨日の夢の中で、椎名さんが私のことを押し倒したの」

「は? 夢?」

「そう夢。夢だよ夢。ドリームワールド」

「夢で、私が浅倉さんのことを押し倒したの?」

「そうだよ。椎名さんが頬を真っ赤に染めて息を荒くして私に覆いかぶさってきてさ、危うく椎名さんに食べられちゃうところだった」


 たとえ私が飢餓に陥って、飢えに飢えて死の淵に立たされるようなことがあったとしても、絶対に浅倉のことを食べるなんてことはありえない。浅倉の肉を引きちぎって、口元を血で真っ赤に染めながらもちゃもちゃと浅倉そのものを食べるなんてことは、絶対にありえない。いやくだらない。


 食べるって、絶対そっちの意味じゃないだろうし。


「そ、そうなんだ……」


 わけのわからない話をされたら、とりあえず頷くことくらいしかできないのがつまらない人間の性だった。困惑と気恥ずかしさがないまぜになったねちゃねちゃした得体の知れない感情が生成されて、私は目を逸らす。


 私が浅倉の夢に現れた。だから何? と思ってしまう。頭を回転させておもしろい返答を考えるよりも先に、脳内がその疑問で埋め尽くされてしまっておもしろい返答を考える余裕がなくなってしまう。


「そうだよ。だから、今日椎名さんと会うのはこれで二回目」


 にひひっと浅倉は私をからかうように笑って、それからくるっとターンして私に背を向けて、小走りで廊下のほうへと消えていってしまった。浅倉とは同じクラスだから、声をかけられた段階でなんとなくこのまま教室まで二人で一緒に行くのかなと予想していたから、浅倉が私を置いてさっさと行ってしまって、私は面食らった。


 なんだか行動も言動も読めない人だな、と思った。つまりもうこの段階で、浅倉は私にとっての宇宙人の地位を確立しつつあった。


 第一印象から明らかに、浅倉は私にとって異質だった。異質すぎた。


「昨日は椎名さんにキスされた」

「……いや、してないけど」

「夢の話だってばー」


 その翌日、登校してから朝のホームルームまでの時間。ピンク色の可愛らしいリュックを背負った浅倉が私の席のそばを通る際に、私の肩に手を置いてそんなことを言った。


「なんで私が浅倉さんにキスしなきゃいけない状況になるのかな?」

「そんなの私に聞かれてもわかんないよ。急に椎名さんが目の前に現れて、それで私はされるがままだったから」

「そ、そうなんだ。……あー、えっと、とりあえず、ごめん」


 なんで私は謝ってるんだろう。


「あはは、謝ることないのに。私は別に、椎名さんにキスされても嫌じゃないよ」

「………………そ、そっか」

「うん、そうだよ」


 にひひっと、また昨日と同じ笑い方をする浅倉。お姉さんのような優しさと子供っぽい無邪気さが同居したような、浅倉特有の不思議な笑顔だった。


 そして浅倉は私の頬にぴたっと手のひらを添えた。


「つめたっ」

「椎名さんのほっぺたあっついねぇ」

「そ、そうかな……」

「それか、私の手が冷たいだけかもね。ほら、私って心があったかいからさ」


 自分で言うことか、それ。


 と思った矢先に浅倉はぽんぽんと軽く私の頭を叩いて自分の席へと行ってしまった。


 浅倉と話していると私は調子が狂うらしいことがわかった。わかったからなんだと言う話だけれど。


 そのあくる日の朝、浅倉は私に声をかけてこなかった。まあ、あたりまえと言えばあたりまえのことなのだけれど、ここ二日連続して声をかけてきていた人が、急に私の机のそばを素通りしていく様子には、なんとなくもの寂しいような驚きがあった。


 浅倉は私に一切目もくれずに、自分の席に座って、なにやら英単語帳を開き始めた。赤シートを忙しなく動かして、小さな声でぶつぶつ単語を音読している。


 浅倉はああ見えて真面目で勤勉で、テストでは優秀な成績をとるような人なのだろうか。まだ四月で、一回目の定期考査はあと一か月先だから、二年生から同じクラスになった人については、そんなことすらもわからない。


 そのまま、勤勉でも真面目でも成績優秀者でもない私はぼーっとその浅倉の様子を眺めていた。他にすることがないし、私が浅倉以外に興味を持ったクラスメイトもいない。


 私は中央の最後列の席に座っていて、浅倉は窓際の最前列の席に座っている。最前列と最後列で、とても距離がある。私の位置からでは、浅倉の後姿しか見ることができない。


 すると、浅倉の席に近づいていく人影があった。知らない顔の女子だった。その女子は浅倉の席に手をついて、なにやら楽し気に談笑している


 私は特に意図もなく、その会話に耳を澄ませた。


「今日さ、単語テストあるらしいよ」


 浅倉のその言葉に、私は少し瞼を震わせる。


「え、なんで」

「なんでって、毎週水曜日は単語テストあるじゃん」

「えーでもなんか今週はやらないって、先週くらいに先生が言ってなかったっけ」

「でも昨日の授業で、やっぱやるって言ってたよ」

「えーガチ? なんも準備してないんだけどー」


 そこで見知らぬ女子はしゃがみこんでうなだれた。そんな大げさな、と思う一方で、今日単語テストがあるなんて情報は私も今初めて知った。昨日の英語の授業は、なんとなく浅倉のことを考えて上の空で聞き流していたから、つまり昨日の英語の授業の記憶は私の脳内からきれいさっぱり消えている。


「大丈夫でしょ、私も今勉強始めたし」

「いやでもさー、なんか謎に追試あるじゃん」


 そう、問題はそこなのだ。定期考査でもない、小テストよりも小さいテストみたいな立ち位置にいるくせに、単語テストには追試が存在する。一年生の頃、クラスで一番成績が悪かったサッカー部の男子は、毎週のようにその追試に赴いていた。部活サボれるし一石二鳥とかそれこそバカみたいことを言いながら。


「三分の一取れれば赤点回避だよ? 今からやればいけるって」


 私も浅倉の会話に耳を傾けている場合ではない。単語帳を眺めるだけでも眺めておかなければ。


 と、鞄の中を探しても、単語帳がない。あの、ほどよい分厚さと重さで、カップラーメンの重しにちょうどいい英単語帳が、ない。


 ……ああ、それこそ昨日の夜食で食べたカップラーメンをつくるときに重しに使って、そのまま鞄に戻すのを忘れていた。


 うわー、やばい。追試確定か。めんどくさい。


 まあいいや。私は英語が不得意なわけではない、むしろ得意なほうだ。今ある持ち前の単語力で、三分の一の点数をとるくらいはなんとなるだろう。


 急に湧き出てきた謎の自信に任せて楽観して、私はスマホで漫画を読み始めた。



「お、椎名さんも追試になっちゃったんだ」

「う、うん……」


 その翌日の放課後、私が追試会場である空き教室に行くと、窓際最後列の席に座っていた浅倉が、私の姿を見るや否や親し気に声をかけてきた。


 浅倉以外には、憮然とした顔つきの男子が四人と、気弱そうな眼鏡の女子が一人。


 なんとなく重苦しい空気が漂う教室で、浅倉だけがへらへら飄々としていて、浅倉の周りだけ空気の色が違っているようだった。


「隣、来なよ」


 浅倉はとんとんと隣の席を軽く叩いて促してくる。


 なんだかこそばゆいなと思いつつも、私は促されるまま浅倉の隣の席に座った。


 浅倉の匂いがする。


「椎名さん、勉強してなかったの?」

「あー、まあ、そんな感じ」

「椎名さんって、不真面目系?」

「まあ、そんな感じ……」


 我ながら会話が下手くそすぎる。でも仕方がない、私は人見知りなのだから。


 言い訳なんだかよくわからないことを考えていると、コミュ英の教科担任が教室に入ってきて、浅倉との会話は強制終了した。


 テスト用紙が配られて、そのままテストが始まる。


 今回は、さらっとだけれどちゃんと単語帳を見直してきたから、すらすら問題を解くことができて、一分半ほどで全て解き終わった。それから三十秒で見直す。うむ、たぶん大丈夫。


 制限時間は五分間だから、半分以上も時間が余った。あまりにも暇すぎて机の木目を数えていると、隣の浅倉にふとももを軽く叩かれた。


 そして私のふとももに置かれる、一枚の紙きれ。


 私はそこから目線を上げて、浅倉の顔を見た。浅倉はまっすぐ正面を向いていた。私も正面を向くと、先生が虚ろな目で窓の向こうを眺めていた。私はまた紙切れに視線を落とす。


 私はその二つ折りになっていた紙切れを開いた。


『この後どっか遊びに行かない?』


 達筆でも丸文字でもない、女子高生として標準的な形をした文字の羅列が、そこにはあった。


 私は遊びに誘われているのか。


 なぜこのタイミングで?


 兎にも角にも、返事をしたほうがいいだろう。私はその紙切れの裏面に文字を書きこむ。


『どこ行くの?』


 とりあえずこちら側が乗り気であること示しつつ、さらなる情報を要求しておいた。顔を正面に向けながら、紙切れを浅倉のふとももに置く。


 そこで先生が制限時間の終わりを告げて、教室中の生徒がプリントを教卓の上へ出しに行く。


 私が立ち上がると浅倉も一緒に立ち上がって、そして浅倉は私の机の上に紙切れをのせた。


 私はその紙切れを拾って、教卓まで行ってから、その紙切れを開いた。


『椎名さんの行きたいところでいいよ』


 つまり丸投げか。別に行きたいところとか特にないなあと考えていると、突然背中が小動物のような重さのなにかに押された。


 振り返ると浅倉が、私の鞄を差し出している。


「ほら、荷物持ってきてあげたから、早く行こうよ。遊びに行くんでしょ?」

「え、う、うん」


 私がおずおずと鞄を受け取ると、浅倉は私を通り過ぎてとっとと教室を出て行ってしまった。私は慌てて追いかける。そしてそれよりも先に憮然とした顔つきの男子が全速力で私のことを追い抜いていく。その男子に気圧されつつも、私は小走りで廊下を駆けて、階段を二段とばしで駆け下りて息を切らせながら、下駄箱を開いていた浅倉に追いついた。


「それで、どこ行くか決めてくれた?」

「はぁ……はぁ……んぐ、はぁ……」


 膝に手をついている私に全く構わず、浅倉は軽い調子でそんなことを訊いてくる。


 浅倉には少し自分勝手なところがあるようだ。だから私の調子も狂う。


「えっと、まあ、駅で適当にぶらぶら、とかでいいんじゃない?」

「じゃあそれでいっか」


 本当にいいのか、と言いかけたけれど抑える。他に良い場所は思いつかないし、放課後に少し遊ぶ程度ならそれで十分だろう。


 浅倉とはまだ知り合って数日だし、カラオケとかはハードルが高い。


「私最近金欠だし、カラオケとかは行けないんだよね」


 私と浅倉では、カラオケに行けない理由が違うらしい。


 その理由の違いは、なんだか象徴的なように思えた。



「うまうま」


 とても幸せそうな笑顔で、手のひらほどの大きさのシュークリームを頬張る浅倉。その浅倉の横に並んで、様子を眺める私。


「そんなの食べてたら太るよ」


 あんまりにも幸せそうに食べているので、私は苦笑しながら少し嫌味を言ってみた。


「大丈夫、私太らない体質だから」


 ぐ、羨ましい。私だって本当は浅倉と同じシュークリームを食べたかったのだけれど、先日乗った体重計の数字を考慮した結果、血涙を流しながら我慢したのだ。


 私が恨みがましい視線で浅倉の身体を眺めまわしていると、浅倉がその視線に気づいて、シュークリームを飲み込んだ。


「なに、食べたいの?」


 言って、浅倉は私にシュークリームを差し出す。いや別に、乞食みたいな視線を向けていたつもりはないんだけど。


「いや、いいよ、そんな」

「遠慮しなくていいよ、一口くらい食べなよ」


 浅倉が私の口元にシュークリームを近づけて、ぐにゅーっと中のクリームを押し出す。そのままクリームが地面に落ちそうになって、私は慌ててそのクリームをすくいあげるようにして、シュークリームを一口食べた。


 あっまい。


「どう? おいしい?」

「おいしいねー……」


 駅構内の人の往来は激しく、ついでに浅倉の容姿は比較的美人の部類に入るから、つまり私たちのほうにちらりと視線を向ける人も数多くいるわけで、そんな中で浅倉にあーんしてもらうのはとてもこっぱずかしい。


「それは良かった。椎名さんも同じやつ買えばよかったのに」

「私は太りやすい体質だからねー」

「そりゃ災難だね。私は遠慮なく食べさせてもらうけど」


 うっぜぇなと思いつつも、浅倉のことを本気で憎むことはできない。浅倉はそういう雰囲気を持っている。


 シュークリームを最後の一口まで胃の中に取り込んでから、浅倉は寄りかかっていた壁から背中を離した。


「それで、どうする? もう帰る?」


 帰るか否かの選択まで私に丸投げするのか、浅倉は。


 帰りたいと言えば帰りたいけれど、帰りたくないと言えば帰りたくない。いや、やっぱり帰りたくないな。どうせ家に帰っても、何もすることなんてないし。


 もし私がここで帰らないと言ったら、浅倉は本当にまだ私と一緒にここに留まり続けるのだろうか。まだ私と一緒にここに留まり続けてくれるのだろうか。


 既に時計の短針は夕方を通り越して夜の時間帯に入っている。それにここまで歩き続きで、疲労感が足を苛んでいる。それは浅倉にしても同じことだろう。


 それでも浅倉は、私が帰らないと言ったら本当に帰らないでいてくれるのか。


 それを確かめるのは、私にとって怖すぎた。


 よくわからないものを、はっきりとしたものへと明らかにするのは怖い。嫌だ。


「……帰ろっか」

「そだねー、じゃ帰ろっか」


 浅倉は笑顔で首肯して、また一人で歩き出してしまう。私は慌てて浅倉に追いついて、隣に並ぶ。


 人間関係を始めた直後には必ず訪れるあの恐怖感が、浅倉と私の間には漂っている。それは仕方のないことだから時間が解決してくれるのを待とうという冷静な自分がいる一方で、そんなものは早急に直接取り除いてしまおうと焦っている自分もいる。


 なぜ焦る自分が出現するのかといえば、それは浅倉のことがよくわからないからだ。浅倉が私の目に異質に映るから、その異質さを取り除いて浅倉をクリアなものにするために、焦ってしまう。


 だけど、焦っても無駄なことは理解している。


 浅倉から異質さが取り除かれる日は、たぶん来ない。何十年先でも何百年先でも、そんな日が来ることはない。


 そんな根拠のないただの予感が、私の冷静さを保っているのだった。



「しーな」

「しーな」

「しーな」

「しーな」

「しーな」

「え、なにこれ……」

「「「「「おはよう、しーな」」」」」


 目が覚めると、童話に出てきそうなのどかで静かな森の中で、五人の浅倉に囲まれていた。全員同じ制服を着ている。


「えっと……、ここはどこ?」


 とりあえず、私の目の前にいた浅倉に、素朴な疑問を投げかけてみる。


「ここはしーなの夢の中だよ」

「はぁ、夢……」


 夢か。そうかこれは夢か。確かに私が森の中で目を覚ます道理は、考えてみればそれしかない。


「しーなの夢の中に、私が出てくるんだね」


 私の目の前にいた浅倉の隣の浅倉が言う。


「しーなが私のことを夢に見てるんだ」

「すると、しーなは私のことを夢に見るくらいには、私のことを強く思ってるんだね」

「しーなは、私のこと好きなの?」

「いや、別に好きってわけじゃあ、ないかもだけど」


 すると突然、目の前にいた浅倉が立ち上がって、私の手を掴んでものすごい力で引っ張り上げて私を無理やり立たせて、走って私を引きずっていく。


 引っ張られながら私たちはどんどん森の奥へと進んでいく。そして少し開けたところに出ると、浅倉が急に立ち止まって私に振り向いて、どん、と私の胸を押して、私に覆いかぶさった。


「しーなは私のことだけ考えていればいいんだよ」

「え、いや、なにを、」


 そこで急に浅倉の顔面がまばゆい光に覆われた。そして次第に、視界が光で埋め尽くされていく。


 つまり私は現実世界で目が覚めた。


「……っていう夢を見た」

「ふ、ふふ。そ、そうなんだ」


 昼休み、私は廊下で浅倉を呼び止めて、今朝見た夢の話をした。


 すると浅倉は気まずそうに苦笑いした。


 反応が微妙だ。なんでだ。


「な、なんでそんな反応悪いの。浅倉だって、私の夢見たって言ってたじゃん」

「ああ、あれは嘘だよ」

「は?」


 嘘って。嘘って。


 押し倒したとかキスしたとか、全部嘘って。


 じゃあ、浅倉はそもそも、私の夢を見ていない?


 でも私は、浅倉の夢を見た?


「私のことを夢に見るなんて、椎名さんは私のことが大好きなんだね?」

「え、いや」


 首筋に、ムカデが這ったようなぞわぞわした感覚が走った。


「私のこと大好きなんだ、椎名さん」


 喉がきゅっと締まる。


 私は居ても立っても居られなくなって、急いで教室に入って、扉をぴしゃりと閉じた。


 なんだこれ。


 この首筋に蠢いているものはなんだ。


 なんで喉が締まってるんだ。


 なにもわからない。


 浅倉のことも、よくわからない。


 扉の向こうの廊下から、女の子の楽しそうな無邪気な笑い声が聞こえてきて、私はかたく耳を塞いだ。

 

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