トラディスィオン男子高校百合物語

@kalula

プロローグ

まだ桜が少しばかり残る並木道。


青のブレザーに白いシャツ、藍色のネクタイに黒いズボンの制服を着こなし、肩にわずかにかかる黒髪をなびかせて桜並木を歩くは麻井あさい洸こう夜や。高校一年生。


そして彼はいつもと同じように校門をくぐり校舎に向かう。


校舎に向かう並木道は他にも何人もの学生が通っている。今風にパーマのウェーブをかける人もいる。


仲良く集団でしゃべりながら登校するグループや部活動の朝練でランニングをする人も居る。


だけど特に部活動にも所属していない洸夜は普通に一人で歩いていた。





校舎の少し前にはクラブ棟に向かう道と、校舎に向かう道との二つに分かれる道がある。


そこを右に向かえば校舎。洸夜はいつもと同じように右に足を向ける。


だがそこで足が止まる。洸夜は見てしまった。


漆黒の髪を腰まで伸ばした長髪。その髪はまっすぐで突き刺さるようなストレート。


そして鋭い目つき。それを併せ持った人物に。


洸夜は思わず見とれてしまい、そしてただ時間も忘れ立ち尽くす。


これが長く刺激的な高校生活の始まりだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る