第34話 宅飲み3
豪華な食事をビールと共に楽しむ。
空腹だったからか、皆様ペースが速い。
七面鳥を切り分けたり、空いた器を下げ、新しい酒を持ってきたりと飲みながらもせかせかと動く俺。
ニアちゃん、寿司に夢中になってないで手伝ってくれてもいいんだよ?
「さて、明日の予定を話すか。パッと決めて、飲み会に集中しよう」
それは助かる。
予定はシン兄さんにお任せ状態なので、またイジけたり変なテンションになる前に終わらせていただきたい。
「アヤネさんは明日からこっちに合流できるのか?」
「はい。今日で手続きは終わったので、明日からは一緒に攻略に行けます」
「なら明日からは三人で異世界攻略に行くわけだが…今日は飲み会だからな。明日は午後からの攻略にしようと思うが、どうだ?」
飲み会の次の日に早起きするのはダルいから文句など無い。
そもそもこの飲み会、何時に終わるんだ?
「俺はそれで大丈夫ですよー。その方が気兼ねなく飲めますし」
「あたしも午後からで大丈夫です」
「そうか、では明日午後1時に協会の前に集合。攻略する異世界は俺が決める。アヤネさんの実力を把握するのが、明日の目的だな。簡単な世界を選ぶから安心してくれ。今日みたいに、システムに提示されるギリギリの高難易度を攻めたりはしない。アヤネさんは黒石君と違って、まだ常識の範囲内なスキルを貰ったと聞いている。それに、女性をあまり危険な目に会わせたくないんでな。俺が面倒を見てる内は絶対女性に無理はさせない。勝手な行動も禁止だ。問題が無ければこれで決定とする」
おう、俺とは待遇に随分と差があるじゃないの?
行けるギリギリの難易度で、さらに縛りプレイ付きだったんだが?
フェミニストなのかしら?
まぁ、ニアが危険な目に会うのは俺も許容できないから、その方針で一向に構わんが。
「了解!俺もニアも成長するまではそれが安心ですしね!」
「…了解しました」
「よし、ではそれでいこう」
若干不服そうに返事をするニア。
少し不貞腐れてるように見える。
封縛の力で亀やキノコを切り刻んだ事で少し自信がついたのかな?
俺みたいにいきなり高難易度をクリアして、私tueeeとかしてみたかったのだろうか。
ニアが今日攻略した異世界を攻略できるか考えてみる。
仮想戦士の世界なら、敵を拘束して切り刻む事ができれば攻略できなくもないだろう。
切り刻めなければその時点で終わりだが。
他2つは多分無理だな。
爆弾男の世界では壁を壊せないだろうし。
戦華の世界は青軍をなんとか抜けて城門まで辿り着いても、壊す事ができずに詰みそう。
手助けすれば攻略できるだろうけど、システムから報酬貰えなかったら落ち込んで面倒な事になると思われる。
病み落ちニアはできれば避けたいです。
「ニア。俺まだ死にたくないし、簡単なとこからコツコツ攻略して成長しようぜ。今日シン兄さんにギリギリ攻められたおかげで、死ぬかと思った瞬間も少しあったし。ねぇ、シン兄さん?」
俺が簡単な異世界に行きたいと言えば少しは納得するんじゃね?作戦。
まぁ本音なんだけども。
リスクは避けたいお年頃です。
「黒石君の場合は、前情報から強力なスキルを使えるとある程度分かっていたしな。さらにあの武器を使えた段階で火力は十分。俺が知ってる異世界ならギリギリでもいけると判断したんだ。まぁ、確かに助けに入ろうか迷った瞬間はあったがな」
なるほど、大鉄剣を使えなかったらもっと簡単な異世界に行っていた可能性が高い。
だって他の武器をまともに使えないポンコツだったし。
「そうだ、アヤネさん。今日がどんな攻略だったか見てみるといい」
見てみるとな?
端末の不思議パワーで録画でもしてたのかねこの人。
糞ビッチが転送の儀式の様子を録画していたみたいに。
「ふーん…んじゃ、見てみますね。あ、知らないだろうから教えとく。異世界攻略に行ってる間の映像って、端末に保管されてんの。んで神は自分の使徒の異世界での映像を共有してんのさ。ちなみに生中継でも見れるから」
ふむ、神はいつもあなたを見ていますよ的な感じ?
自分の使徒の生中継ねぇ。
ニアが見てると分かっているなら、放送事故が多発しそうだ。
攻略中に変態行為をしたらシステムから罰を受けそうだし、ギリギリを見極めていこう。
「へー、またシステムの謎機能か。何?思い出用?トイレとかもバッチリ写ってんの?」
「トイレとかはシステムが上手い具合に隠すし、編集してるから大丈夫。思い出用っていうか…実用?自分の使徒がヤバそうなら救援に行ったりとかね。基本的には良い映像撮れたらgodTubeに上げてみたりとか。地球の動画サイトと一緒。再生数でお金貰える感じ。人気あればそれで生活してお金持ちになれるし」
なるほど、神のYouTubeって感じか。
名前もまんまgodTubeとか丸パクりだし。
「エロい動画とかもあんの?」
「…ハァ。有料でアダルトコンテンツ解放すれば見れるはずだよ。あたしが今日の攻略見てる間に、やり方シンさんに聞いてエロ動画見てれば?変態。シンさん、あたしちょっと集中したいんでこの変態お願いしてもいいですか?」
やらかした。
不機嫌+ゴミを見る目ですね。
シラフならこんな質問はしない…かはわからないけど、酔ってるしポロッと心の声が漏れちゃったのよ。
「…まぁ、教えるのはいいんだが。それでいいのかアヤネさん?」
「はい、こんな変態でも一応あたしの使徒なので、どんな攻略をしたかちゃんと見ておきたいですし。今隣で変態にドヤ顔でもされながら自慢されたら、キレそうなんで」
「あははは…ニア、なんかゴメンね?」
「うっさい、黙っとけ」
もうキレてないですか?
ここは変に声かけて刺激しない方が良さそうだ。
今日の俺tueee動画を見て、少しは機嫌が良くなる事を祈ろう。
「そ、それじゃあシン兄さん。台所の換気扇の下で、タバコでも吸いながら教えて貰えたら嬉しいです…」
「お、おう!そうだな!じゃあ行くか!」
集中したいらしいし、ここは暫くこの場から撤退しておこう。
「おい変態。台所でエロ動画見られてたら新しい酒取りに行きづらいから、今のうちに2本くらいビール持ってきといて」
「ういっす…」
機嫌直ればいいなぁ…。
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