第32話 宅飲み1
フローリングの床に元々置いてあった、背の低い小さなテーブルを囲んで座る。
ある程度の家具は揃っているが、中途半端な感じ。
急いで部屋を準備したからなのか、細かい物が不足している。
ソファーや椅子が無く、ラグも敷かれてないため、直接フローリングに座っているが落ち着かない。
食器すらないこの部屋でよく打ち上げしようと思ったな俺。
お客様を床にそのまま座らせるのはどうかと思ったので、ショップで座布団を3つ購入。
1つ2000円、今日の稼ぎが吹き飛んだね。
まぁ、これからも使うだろうし仕方ないか。
座布団が届いたので銀色扉から出していると、それとは別にもう1つ銀色扉が現れる。
シンさんも何やら購入していた様子。
俺が座布団を選んでる間に、サクッと購入していたのだろう。
銀色扉から購入した物を取り出すシン兄さん。
ビール、チューハイ、ワイン等、出るわ出るわの大量の酒。
それが小さいテーブルに乗りきらずに、床にまで広がり始める。
「皆、何を飲むかわからんからな。適当に選んでおいた。余ったら後で飲むといい、引っ越し祝いだ」
「それはありがたいんですけど…。さすがに大量すぎやしません?俺、今日あんまり飲めないと思い…いや、飲める気がする。なんで?」
あれ?割りと元気な感じがするよ?
これなら今夜はハッスルできそう。
攻略が終わった後は疲れでダルかったのに。
「やはりか。身体超強化で体が回復したんだと思うぞ。仮想戦士の世界での顔の傷が、すぐに治っていたからな。そうなるかと思っていた」
マジかよ。
顔の傷とか、すぐ痛みが無くなったから忘れてた。
最近は寝ても前の日の疲れが残るようになっていたおっさんには、マジ神懸かったスキルだわ。
まぁ神のスキルなんだけども。
「うーん。早く教えてくれてたら、外で飲みでも大丈夫でしたのに。こんな何も無い部屋に誘って、なんかすみません」
「早く教えなかったのは、確証が無かったからだ。それに、精神的な疲れまではおそらく回復しないだろう。場所の事なら気にする必要は無いぞ、俺も宅飲みの方が気が楽だ。今は他に漏らせない話もあるしな」
精神的な疲れはニアのハグで吹き飛んだから無問題。
「そう言って貰えたら助かります。とりあえず、ビールとかチューハイ冷蔵庫に入れてきますね。どうします?ニアが来る前に始めちゃうなら俺ビール飲みたいんで、ここに一本置いてきますけど」
ニアからまだ連絡来ないし、協会で仕事終わりの一本飲んでるの見られてるからな。
シン兄さん次第では先に飲んでても大丈夫だろ。
「すぐ無くなるから俺のも合わせて、4本置いてけ」
さすが兄さん、一杯飲んだらすぐ次が飲みたくなるアル中の心を分かってらっしゃる。
酒で冷蔵庫をパンパンにしてる間に、シン兄さんがオードブル盛り合わせや使い捨ての食器を準備してくれていた。
さすが本物のエリート、デキる男は違うね。
「それじゃ、2度目の乾杯といくか。乾杯!」
「ゴチになります!乾杯!」
適当に料理をつまみ、酒を飲みながら今日の攻略の話をしているとニアからプルルと着信。
ニアはプルルン、メイさんはブルルン、レイちゃんがバルルンて感じだよなぁ、とか思いながら通話開始。
「おっぱい?」
「ブッ!?」
シン兄さんがビール吹いた。
汚いなぁ、ティッシュそこね。
『何言ってんの?酔ってんだか素なのかわかんないよね、あんた』
酔ってるし、素だったよね。
「ごめん。ちょっと酔ってシン兄さんとおっぱいについて語ってたら、ついね」
「おい!嘘をついて俺を巻き込むな!」
大丈夫だってシン兄さん、ニアならちょっとのセクハラくらいならグーパンですませてくれるし。
『嘘ついて巻き込むなって聞こえたけど?あんた、本当しょうもないね…シンさんはまともそうだし、とりあえず行く。今男子寮の前にいるからさっさと迎えに来い、変態』
美少女に変態と呼ばれるのも、悪くないんだよなぁ…。
性的嗜好が広がっていくのを感じるよ。
「ういっす、女神様。すぐ行くから待ってて。シン兄さん、ちょっと下までニア迎えに行って来ます!」
「ああ、わかった。…ったく、イチャイチャしやがって」
イチャイチャしてたか?
ストロングなチューハイをガバガバやり始めたシン兄さんはとりあえず放置。
男子寮の前に向かった。
「お股ー!ニアふごぉっ!?あだっ!?なんで2回グーで殴ったし!?」
男子寮の前で待っていたニアに近づいた瞬間、顔面にワンツーお見舞いされた。
「さっきの通話の分と、今の喋り方がなんかキモかった分。早くそういうの直しなって」
えー…根本的にキモいから無理だと思うけどなー。
これから一緒に行動するわけだし、1日何回ビンタorグーパン喰らうことやら。
今はあまり痛くないからいいけど、そのうち100tハンマーとか装備して殴ってこないよね、この娘。
「善処します。お仕事お疲れ様!ほれ、シン兄さん待ってるからはよ行くべ」
「りょーかい」
ニアを連れてエレベーターにin。
男子寮に入ってからこの娘、動きがガチガチ。
見るからに緊張してるよ。
俺も女子寮に入ったらガチガチになりそうだけどね、色々な意味で。
しかしこういう女の子って感じな様子、グッとくるな。
ラブホのエレベーターでうぶなニアと部屋に向かう設定の妄想が捗る。
「なんかニア緊張してね?こういうとこ入るの初めて?取って食いやしないから安心しなって。俺もシン兄さんも紳士だよ?」
変態紳士だけど。
俺は合意のイチャラブにしか興味無いから安心せい。
シン兄さんはまぁ大丈夫だと信じよう。
何か起きそうなら刺し違えてでもお守りするわ。
二次元以外の非合意系、それとNTRは絶対許さぬ。
俺はNTRで脳が破壊されたと言っても、過言ではないからな。
「…正直ちょっと、緊張はしてる。男子寮とか入るの初めてだし…。コウは変態だけど、あたしの使徒だし、何かあっても守ってくれるよね?信じてるからね?」
おっふ、おっさんそういうのに弱いのよ。
俄然守る事にやる気出てきますわ。
更にやる気を上げる為と、セクハラの限度を知る為に、酔いに任せて気になる事を聞いてみよう。
答え次第では、やる気が半減するが。
「当然守りますよー。ところでニア、今後に関わる事だから質問しとくわ。ニアって今彼氏いたりする?もしくはそれに近い人とか」
今までの言動から、おそらく彼氏はいないと思うけど。
だが、もし彼氏がいるのならモチベーションが下がる。
嫉妬心でモヤっとしそう。
使徒として守るのは勿論だが、彼氏に守ってもらえばぁ?みたいな気持ちが多少は生まれますし。
心が狭いんでね。
まぁ、あんまりセクハラしすぎたら彼氏に悪いという気持ちもあるけど。
これから恋仲になるかはわからないが、長い年月を一緒に過ごすはずだ。
可愛い女性ならそこは気になって当然だろ?
「…どっちもいない」
最上階に着いたエレベーターから降り、変態はニアに返事をする。
「おっけ!使徒としてのやる気出た!でも、それに近い人で俺の名前を出しても良かったのよ?」
「あたしの使徒だからって調子乗んな。昨日会ったばっかりじゃん。そもそも変態なあんた好きとか、そうとうヤバい女っしょ。変態直すか、カッコいいとこ見せてくれたら考えてみるから。ま、ガンバ」
え?
変態でもカッコいいとこ見せれば可能性あんの?
「…とりあえず部屋までお姫様抱っこで運ぶか?」
カッコいいポイントが減点されたので、普通に部屋に入りました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます