第28話 異世界攻略3 一服

「さて、何か反省点は?」


わかってるくせにぃ…。

やり過ぎた感しかないわ。


「火力の調整をミスりました!でも、ぶっちゃけスッキリしたので、あまり後悔はしてません!シンさんが見守っていてくれたので、失敗を恐れずにスキルを使う事ができました!ありがとうございます!いやー、頼れる男が面倒を見てくれてるおかげで、ドンドン成長してる実感がありますよ!次からは気をつけますので、またよろしくお願い致します!」


勢いとヨイショで乗り切ろう。


「別に怒っているわけではないから、おべっかを使うのは止めろ。スキルに関しては、確かに火力の調整に失敗していたようだが、これから成長していけばなんとでもなる。俺が黒石君を見ていて思った反省点は、火力調整の失敗ではないな」


え、マジで。

結構頑張った方だと思ったけど。


「もしよければ、教えてもらえませんか?」


「ああ、勿論だ。一言で言えば、黒石君はその場の感情に流されやすい、という事だな。理不尽な敵の攻撃にイライラして、落ち着いて攻略するのが面倒になったんじゃないか?アレが変になりそうとか言っていたしな。面倒事はさっさと終わらせたいという気持ちが、全部まとめてぶっ壊すという行動になったんだろう。感情に流されず冷静に行動しても、そのスキルがあれば攻略するのにそう時間はかからなかったと俺は思うぞ。転移してきたばかりで感情が高ぶっているのかもしれないが、一応、気に留めておいた方がいいな」


おうふ、確かにそうだ。

日本で死にかけていた感情が、神界では超ハッスル。

最高にハイってやつだ。

多分、非日常が起こり過ぎてるせいもあると思う。

しばらくしたら落ち着くかもしれないが、異世界攻略には命がかかっている。

もう三十路なんだし、少しは落ち着こう。

できるかわからんけど。


「了解です。気をつけますね」


「そうだな、出来るだけでいいぞ。黒石君は若いからな、まだ30歳なんだろう?俺も黒石君と同じ位の時は、似たようなものだったからな。年を重ねれば、段々と感情のコントロールが出来るようになる」


「ハハハ、地球じゃ三十路はもう若くはないですけどね。上手く年を重ねられる事を祈ります」


年齢三桁超えの神にとって、三十路のおっさんはまだまだ若者か。

神力を増やして成長すれば、寿命も青天井っぽいしな。

30年はたいした長さではないのだろう。

年長者の助言を信じて、出来るだけ気を付ける事にしよう。


「さて、反省会はもういいか。今日の異世界攻略も、次が最後だ。慣れない事をした上に、小言まで言われてストレスが溜まっているだろう?最後は、今の黒石君にピッタリな異世界にしてやろう。出来るだけ冷静に好きに戦うといい。戦華いくさばなの世界で検索してみろ。黒石君の実力ならあるはずだ」


戦華の世界?

何?戦争?…合戦?

…なんとなく予想できるぞこれ。


指示に従い戦華の世界を検索、発見。


「普通LV9って…まぁ、いいです。というか、俺この世界も知ってるかもしれないんですけど」


攻略条件を見る限り、ほぼ確定だが。


「原作をもし知っているなら話は早いな。前の攻略では黒石君の実力を把握する為に隠していたが、異世界の名前を長押ししてみろ。その異世界の画像、攻略のヒントや情報が調べられるぞ」


おー、本当だ。

戦国の合戦っぽい画像が盛り沢山!

やっぱりね、玉を弾きながらよく見た光景にかなり近いわ。


攻略のヒントや情報はこんな感じ。

戦場はそんなに広くない。

城門までスタート地点から約1㎞程度。

味方の赤軍は本陣から動かない役立たず、放っておくとすぐに死んで本陣壊滅。

本陣の中心にいる、異の漢字を模した兜を被った奴が死んだ時点で攻略失敗。

敵の青軍は倒しても倒しても、城門突破するまで無限に出現する。

味方と敵の武器は槍のみ。

城門を壊して中に入らなければ成功扱いにならない。

城門がかなり硬く、本陣も守らなくてはクリアできないので複数人での攻略推奨。


大事な情報はこんなところだろうか。

まーたシステムの半端仕上げ、味方に悪魔の馬NPC足りないんですけど?等、愚痴なんかも書き込まれているが今は割愛。


そして、戦華の世界をクリアする為の攻略条件がこちら。

攻略条件1、城門を突破せよ。

攻略条件2、本陣を守れ。


情報通りなら両方達成しないと、クリアできないっぽい。

複数人での攻略推奨って書いてるし、攻略条件の内容を達成するのって、俺1人じゃ無理だろ。


「シンさん、原作知ってる世界でしたわ。ようは城門突破して、俺参上してくればいいんですよね。でも、城門目指してる間、本陣はどうすればいいんですかね?失敗したら嫌ですし、何か方法あるなら教えてくれたら助かります。端末には、1人でクリアできる情報が見当たらなかったので」


「なに、単純な事だ。俺が本陣を守っている間に、黒石君が城門突破してくればいい。もうある程度の実力は見せてもらったし、この異世界なら俺が手を貸しても神力が貰えないという事はない。それに、俺の実力も見せておいた方がいいだろう?若者にいいところを見せておかないと、なめられるかもしれないしな」


色々な意味でなめませんから、安心してください。


「なるほど、納得です。それじゃ、俺も見事にかぶいてきますんで、本陣よろしくお願いします!」


「ハッハッハ!ちゃんと攻略できたら今日は酒を奢ってやる!百万石とはいかんがな!」


やったぜ、タダ酒パワーでテンションアゲアゲだ。

あ、ちゃんと出来るだけ冷静に頑張るよ、多分。




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