幽体離脱


 ――幽体離脱した能天気な老人がいた。


 老人は自分の寝顔を上から眺めると、スイスイと楽しそうに窓から飛んで行ってしまった。


 鳥の気分を充分に満喫した老人だったが、そろそろ辺りが暗くなってきたので、自分の体に返ろうとして一大事が起こった。


 自分の家が思い出せないのだ。どうやら健忘症というものらしい。


 どうしたらいいのか?  老人は途方に暮れて今もさまよっている。


 案外、生霊いきりょうというのはこんな風にして出来てしまうのかも知れない……?  





                END



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