地球最後の……


 ――得体の知れない疫病ウイルスの流行。天変地異。そして核戦争と続いて人類はついに滅びた。


 砂漠化した元大都会には鼠一匹生きてはいなかった。

 

 しかし高層ビルの瓦礫の中からふらりと一人の男が立ち上がった。真っ黒な顔をしていた。服は焼け焦げていた。一歩、二歩と歩くうちに男は少しづつ生気を取り戻していった。


「俺は生きてるぞ。みんな死んじまったがこの俺はこうして生きてるんだ!」


 男は言葉を搾り出すようにそう言った。


「俺は… 俺は地球最後の男だ」


 すると瓦礫の中から又ひとり人間が立ち上がった。


「あたしだって生きてるわ」


 ボロボロの服の女は力強くそう言い放った。


「おお、君も生きていたのか」


 嬉しそうに男が言った。


「君は、地球最後の女ってわけか」


 その人間が答えた。


「いいえ、あたしは女じゃないの」


 男は首をかしげて言った。


「……というと、君はまさか。おねえ?」


「いやねえ、地球最後のジェンダーって言ってよ!」


「??!!」




          END



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