子供が一人。それもあまり賢そうに見えない子供が一人、ビルの屋上にいる。


 大きなこうもり傘を手にし、今にもそのビルから飛ぼうとしている。そこに居合わせた男が驚いて言った。


「君やめなさい、危ない! そんな傘1本で、こんな高いビルから飛べるとでも思っているのか、飛ぶなら私のこの傘も使いなさい、」


「おじさん、ありがとう!」


 渡された傘を持ち子供は屋上から身をおどらせた。

 

 しかしそんな傘2本で飛べるはずもなく、子供はまっさかさまに落ちていく。それを見た男は真っ青な顔で叫んだ。


「ああ、神様これは全部私の責任です。渡した傘の穴さえ縫っておけばこんなことには、ならなかった!」





                 END

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