第34話 エルフィンとハンネス~小さな異変 ①
エルフィンの異変に、最初に気づいたのはハンネスだった。
地球に来てから、エルフィンとハンネスは互いの武術を磨くために、ふたりで毎日のように、フォースを使った練習をしていた。
ふたりはだいたい互角の力をもっていた。
潜在能力としては、ハンネスの方が上なのだが、ハンネスは武術の修業をしていない時期があったため、今はエルフィンの方がやや勝っていた。
しかしその日は、違っていた。
それほどフォースを使ったわけではないのに、簡単にエルフィンの防御を破ることができた。エルフィンを投げ飛ばすことも、あまりに簡単にできた。
その日のエルフィンは、それほど強くない相手にでも簡単に負けるのではないかと思えるほど、弱かった。
エルフィンは自分でも、少し変だな・・・? とは思ったが、ハンネスが腕を上げ、強くなったからだと勝手に思いこんでいた。
しかし実際のところは、ハンネスは異変に気付いた時から、かなり手加減をして、エルフィンの相手をしていた。
何日もその状態が続き、日増しにフォースの力が衰えてゆくばかりのエルフィンに、ハンネスは強い危機感を感じた。
「エルフィンはもはや、自分で自分を護れない」
そう思ったとき、ハンネスは初めてジャド師に相談した。
「最近になって、エルフィンのフォースが異常と言ってよいほど、弱くなっています。調子が悪いだけなのかと思い、この2週間、何も言わず観察していたのですが、
いっこうに回復しません。それどころか、日に日にフォースが、失われて行っています。
それで私も心配になり、色々調べたのですが、原因として可能性がある答えは、たったひとつでした。
変性によるフォースの喪失です。
まさかとは思うのですが、エルフィンが遅い変性期を迎えているような気がして、仕方がないのです。
エルフィンに気づかれずに、確かめる方法は何かあるでしょうか?」
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