『小さなお話し』 その222……『ジェネレーション・キャップ』

やましん(テンパー)

『ジェネレーション・キャップ』 ・・・《人類第1の報告書》

 

      【これは、あからさまな、フィクションです。】




 『今回の、発掘文書に記載されていた内容の大まかな抜粋である。約1億年も前のものと、推定されるが、ちょっと、その中身を覗いてみよう。(当時の、つまり、いまから、さらに2億年以上前の週刊誌の記事から抜粋。)


 


 《このたび、政府は、『ジェネレーション・キャップ』を義務化しました。


 10歳未満は青色


 10歳以上18歳未満は紫色


 18歳以上30歳未満は緑色


 30歳以上40歳未満は茶色


 41歳以上50歳未満は黒色


 51歳以上60歳未満は黄色


 60歳以上80歳未満は赤色


 80歳以上100歳未満は銀色


 100歳以上200歳未満は白色


 200歳以上300歳未満は白と黒の横縞


 300歳以上は白と黒の縦縞

   

 であります。


 なお、脳部を中央、あるいは各地の『脳廟楼』に保管し、人工人体が活動してる場合は、金製のキャップとすることとします。


 キャップの仕様は、別途政令にて定めます。


 キャップは、政府が制作し、自治体を通じて交付します。


 外国人は、該当しませんが、政府が特に認めた場合は例外とし、これについては、政令によって、定めます。


 ジェネレーション・キャップは、特段の恩恵が与えらえるものではありませんが、人類の誇りを維持するためのものです。』



 このような文書を、旧人類が作成していたとしたら、おどろきもものきさんしょのきであるが、どうやら、事実らしいのである。』



 


   ************   ************



 《以下は、その、同じ時期の、とある、科学雑誌記録の記事である。この記事自体が、超古文書であるが・・・。》



 『これは、かつて、小さな島国があったと推定される場所から出土した、いわゆる《第1文書》より抜粋したものである。 


 この国あるいは、地域では、宇宙ゴキの支配に対して、その権力を《裏政府》が請け負っていたが、なんらかの反乱がおこり、一時期人類が復権していたものと推定されていたが、このほど、いくつかの重要な資料が発掘された。』


以下、略



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 《その時期の、とあるニュース誌の雑学記事。かなり、詳細な記事が書かれている貴重なものである。》



 『この新資料における、『ジェネレーション・キャップ』は、宇宙ごき政府に対する全面対決の意味合いがあったようである。この制度を導入した、このある国は、人体のロボット化を急激に進め、特に優秀な国民については、脳を特別な施設に保管し、半永久的に活動させるという技術をも確立したらしい。(もちろん、現在は存在しない。)


 これは、当時の支配種であった『宇宙ごき』が、『旧地球人類』を食用とし始めたことに対する、抗議の意味もあったと思われる。


 こうした技術を地球人に提供したのは、その時期宇宙ごきと、敵対していた、超平和主義者の、アルファ・ケンタウリを中心活動地とした、『宇宙クジラ』だったと推定される。


 しかし、『宇宙ごき』は、『人類』と『地球ごき』の交配種である『新地球人類種』を広く拡散させていた。


 もちろん、一部の反対派の『旧地球人類種』は、このような国以外にもいて、さまざまな手法で最後まで抵抗していたようだが、結局は、力尽きたと見られている。


 現在、この『ホモ・サピエンス』の遥かなる子孫は、太平洋の中央にある、『オキナー・ドーム・旧人類研究所』にて、50固体ほどが飼育されているのみである。


 知能は、我々の、3歳児程度までは発達する。


 ことばも、かなり上手に使うことができるが、もちろん空間会話などは不可能であるし、そもそも、抽象的な思考は苦手であるらしい。


 『宇宙ごき』は、その後、地球上からは消滅したが、同族がどこかで生存している可能性はかなりあるとみられる。『宇宙クジラ』もまた、いずれかの、はるかな宇宙空間に去っていったといわれるが、その後の所在は分かっていない。


 往時には、宇宙空間の理論的な解明にまで、かなり迫ったとも言われる『旧地球人類』だが、この子孫には、その面影はもはやない。


 脳だけは、いまだに、異様に大きく、目は小さく、丸く、鼻は扁平になり、口は、やや尖がっている。胴は膨れて風船に近い。短い上の触手で、一定の軽作業が可能であるが、身体の前で組むことはできない。下側の小さな触手でゆっくりと、引きずるように移動する。


 体長は、大きいもので100センチくらいにはなる。なお、我らが直接の祖先の、地球人類と地球ごきの交配種である、新地球人類『ホモサピエンス・ゴキエレクゥトゥス』のその後の急速な進化については、なお、謎が多く、そもそも、本来あり得ないものを、どうやって交配したのか、から始まり、いかに、我々にまで続くのかは、途切れた『謎の空白期間』を中心に、まだまだ疑問が多く、まったく、まとまらない。一方、太陽の巨大化は近くなってきている。われわれが、ついに、地球から宇宙に移住する時期は、もう迫っているのである。なまごみだあ~~~~~。』



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『小さなお話し』 その222……『ジェネレーション・キャップ』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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