第3話 囚われたミルク
スイーツを買って帰ってから1週間後、ハーン帝国はメグ領が国境を接するナーカ教国に突然宣戦布告しました。
ハーン帝国の主力部隊が続々とメグ領内に入ってきて、国境の砦に集まったのです。
もちろんメグ家の軍勢も集まっています。
総大将はメグ伯爵様、将軍は帝都の兵団長のミカエル様です。
宣戦布告後、速やかに開始された戦闘は、終始ハーン帝国側の優勢でどんどん深くナーカ教国へと進軍していきます。
ナーカ教国は突然の侵略に抵抗もおぼつかず、次々と街は落とされ、ナーカ教国の降伏は時間の問題だと噂されていました。
戦勝ムードに沸くメグ領ではお祭り騒ぎが連日続き、誰もが勝利を疑いませんでした。
「ミルクさん、ちょっとお使いをお願いしたいんだけど。いいかい?
陣営にいるワンド公爵様に手紙を渡してきて欲しいんだよ。
旦那様の大切なお手紙だからね。必ず、早くお届けするんだよ。」
「はい、ソーダ様」
わたしは、街の中央広場に作られた陣営に手紙を持って向かいました。
ワンド公爵様は、皇帝陛下のいとこにあたるお方で、戦勝が決定的になったのでメグ領に来られたみたいです。
あまり評判の良い方ではありません。
メグ伯爵様が前線に出られ、何も問題の無いこの時期に、わざわざ帝都からこちらにお越しになるなんて変です。
侍女仲間では、「帝都で皇帝陛下に粗相をしたので、ナーカ教国との戦争に貢献したとの実績を騙るためだけに来られたのでは。」といううわさが出ています。
陣営に着くとしばらく待たされた後、ワンド公爵自らが出てこられました。
わたしはその場に跪いて、手紙を渡しました。
「メグ伯爵様よりの書簡でございます。」
ワンド公爵は、好色そうな目でわたしを嘗め回すように見ています。
全く隠そうともしていません。
「うむ、確かに受け取った。
それで、そちの名前は何という。」
「ミルク、ミルク・ホットです。」
「ホットとな。ああホット男爵の娘子か。
のおミルクよ、ちょっとわしの相手をせぬか。」
垂れた好色そうな目、ゆるんだ口元からはよだれが今にも垂れそうです。
「いえ、申し訳ありません。すぐにお屋敷に戻らねばなりませんので。」
「そう言わずとも良いではないか。
屋敷の方にはわしの方から連絡しておこう。」
ワンド公爵は近くにいた兵に話しかけると、その兵は一礼した後お屋敷の方に向かっていきました。
「さあ、わしと来るのだ。悪いようにはせんぞ。ぐふふふ。」
とんだことになりました。
わたしには既に拒否権はありません。
周囲の者達も見て見ぬふりです。
わたしはそのまま、ワンド公爵に奥の私室に連れていかれました。
「わしが良いというまで、お前達は外の警備をしておれ。」
「しかし、それでは公爵様をお守りすることが出来ません。」
「何が襲ってくるというのじゃ。大丈夫だ、外に出ておれ。」
「はい、承知いたしました。」
最後の頼みの綱であった警備兵も外へ出て行ったのです。
「さてミルクよ。そう堅くならんでも良い。お互い楽しもうではないか。」
そう言うとワンド公爵は、わたしをベッドに押し付け、服を脱がそうとしました。
わたしは必死に抵抗しましたが、その醜く太った身体で上から押さえ付けられると、身動き一つとれません。
「騒いだらどうなるかわかっているな。
ホット家のためにも、大人しくするのだ。良いな。」
わたしは身体から力が抜けていきました。
家族を人質にするなどこの醜悪なブタは、間違いなく鬼畜です。
でも、今のわたしには逆らう術など残っていませんでした。
弛緩したわたしの手を振りほどき、ブタの手がボタンを1つづつ外していきます。
下着に手を掛けられそれが外されようとした時、わたしは最後の抵抗を試みます。
「まだ抵抗するか!ホット家がどうなっても良いのか!」
その一言でわたしは完全に抵抗を諦めました。
ブタは、はだけたわたしの胸を執拗の嘗め回しています。
臭い唾液でわたしの胸はべとべとになり、もう一生洗ってもとれないであろうと思われました。
「どうだ感じるか。どうだ良いだろう。わしのこのテクニックですぐに気持ちよくしてやろう。」
何も感じませんでした。
ただ、嘗め回されるおぞましい感触だけが残っているだけです。
どのくらい時間が経ったでしょうか。
胸に飽きたのか、ブタはわたしの下半身に触れました。
わたしが身を固くした時、扉が突然開いたのです。
「公爵様!お逃げ ぐわはっ………」
わたしは、ブタの背中越しに扉を見ると、外に出ていたはずの兵の血まみれの顔がありました。
わたしは何が起きたのか分からず、声を上げることすらできませんでした。
扉から血まみれの顔を覗かせていた兵は、そのまま部屋の中に崩れ落ちます。
「ううん?なんだか騒がしいぞ?」
ブタが顔だけを後ろに向け扉を見ます。
その時、扉の外から見たことの無い装備の兵が現れ、長槍でブタを一突きしました。
厚いワンド公爵の腹の肉で長槍は止まり、下のわたしにまで達することはありませんでした。
その兵は、部屋に入ると周りを確認し、ワンド公爵の下にいるわたしを見つけました。
長槍の柄で器用にワンド公爵を除けると、胸元をはだけたわたしの姿があらわになります。
「へへっ。これは思わぬところで良い獲物を得たぜ。
お嬢ちゃん、大丈夫かい。じきにここらは火の海になるだろう。
俺と一緒に来な。」
彼が何を言っているのか全く分かりません。
でも、警備の兵を殺し、ワンド公爵をも殺した相手に小娘が何をできるでしょう。
わたしは、はだけた胸元を閉じ、慌てて身支度をすると、男に着いていくしかありませんでした。
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