かはうそうををまつる

田中目八

第1話かはうそうををまつる

翡翠を憎むまなこの川辺かな

遠雷やにんげん引くによろしかろ

雄雌の皿に違ひや鮎の宿

緑の夜禰禰子の皿の艶めきぬ

皿舐むる恍惚ありや旱星

風薫る生臭とまぐわふ時も

饐飯や身体と身体ぶつけ合ふ

洞窟に詰めて涼しや皿洗ひ

水飯に泳ぐ瓜づけ碧まさり

みどり児は緑の儘に山椒魚


蓮飯を喰へぬと云ふ朋をかしかり

草相撲吸ひつくやうな膚かな

澄む秋の皿を隠して肉隠さず

沈むにはよき水ありて鵙高音

稲づまの引く手あま多に藻掻きけり

月天心淵にをどるは尻子玉

皿を引き揚げる頃合水の秋

秋胡瓜知らずに川を溯る

秋の江の赤き毛のもの立ち去りぬ


寒江や錆びたる馬の鎮め守る


隠沼のあをはだの内あかあかと

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

かはうそうををまつる 田中目八 @tamagozushi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ