第7話

「ほーれほれじゃんじゃん飲みな」

 ありかがノエルに次々にいろんなお酒を飲ませていく。

 ちなみにありかは未成年なのでソフトドリンクだ。

 ジンジャエール片手に焼き鳥のぼんじり串にかぶりついては高楊枝でピコピコさせている姿は本当に酔っていないか不安になる姿だ。

 しかもこれがアイドルの姿だと思うとまた別の危機感を持ってしまうのだが、幸いにもここは貸し切りの大広間。店員さんが入ってくるときはすぐにしゃっきりするので今のところ不味い姿は見られていない。

 そこんところをうまくやるのが星野ありかという女のアイドルとしての実力だ。

 と言うと夢が無いが、まぁそれだけでは無い物を持っているのが事実だ。


 それよりヤバいのがありかにお酌をされてるノエルだ。

 ノエルは生まれたばかりでお酒を飲んだことが無いというのに、

「ミーゴ製のこの高性能アンドロイドの肝機能は完璧です」

 とのたまってビールを飲み始めたのである。

 宴会開始からすでに3時間。

 家族がいる桜子さんは開始30分でお帰りになられた。

 それから恋愛に負けた飛鳥がやけ酒を始めてそれに合わせてペースアップ。

 ノリのいいありかが2人に呑み比べをさせて、2時間目に飛鳥が酔いつぶれたのでQべぇこと美九さんに介抱されながら帰ったお持ち帰りされた

 その時にはノエルは平然としていたので、ありかがせっかくだしと言って他のいろんなお酒も飲んでみようと言い出してちゃんぽんし始めたのである。


「さぁ次はモスコミュール行ってみましょ~~う♬」

「………………………………………………」

「次はカルアミルクだーーーー!」

「………………………………………………」


「ノエルの奴、さっきから何もしゃべらねーぜ」

 ビールのペースが落ちて枝豆をもぐもぐしている薫が胡坐をかいた足の中に納まってタコわさびをちまちまやっている蒼につぶやく。

「彼女顔に出でないだけで相当酔ってるんじゃないかしら」

「俺もそう思います」

 とか何とか言っていると。


 ガチャン。


 と、無表情なままでノエルはテーブルに突っ伏してしまった。

「ありゃりゃ、ノエルちゃん潰れちゃたの」

「潰した本人が言うな」

「それで蒼社長、この子私が持って帰ってもいいのですか?」

「ん~~~~?その子一応は薫くんがマスター登録してるから薫くんに聞いて」

「うわ!久我峰くんノエルちゃんのマスター気取ってんだ。キモ」

「キモイゆうな。しょうがないだろ。社長が受け取ろうとしないから俺が受け取っておいたらそのままマスターにされてたんだから」

「蒼社長はいいんですか?」

「ん?何がだい」

「恋人がこんなんで」

 とあごでしゃくってくるありかと、「そうだそうだー」とちょっと酔いが回り気味の静香が社長を凝視する。

「むっふ~~~。薫くんのマスターはワタシだから良いのだ~~~~~♪」

 そう言って蒼は薫の胸板に頬ずりをしてマーキングするところを見せつける。

「「おお~~~~~~~~~~~」」

 こっちもこっちで酔っぱらって頭が変になり始めている。

「明日も仕事が有んだぞ大丈夫か」

 とのたまう薫に、少し離れたところにいる歩と茂さんが薫たちを肴にちびちび日本酒を飲みながらのんびり話す。

「若いとは良いの~~」

「茂さんもまだまだいけますよ」

「はっはっは、そうかの」


 こんな感じで忘年会は緩やかに解散となるのだった。

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