第14話
「それでは宝箱の中身はなんじゃろな」
わくわくと宝箱を開けに行くソラ。
クーガもその後ろに付いて行き一緒に宝箱の中身を覗き込んだ。
宝箱は白い象牙のような質感の本体と、金色の金具で彩られた豪華なもので、とにかく大きく、蓋をソラ一人では開けられないのじゃないかと思えるほどだった。
クーガが後ろから蓋の淵を持ってやって一緒に開けると、
「わーお、金銀財宝が山盛りじゃい」
見事なまでの財宝感のあるきらめきにソラのテンションはアゲアゲ、口調がなんか某ご当地アイドルのプロデューサー兼マネージャーみたいな喋り方になっている。
実際これらは演出だろうが、
「あ、これみんな換金、またはコレクション用のアイテムだわ」
「ただの演出じゃなかったんだ」
「てか、これ宝箱自体がレアアイテムだわ。ギルドホームに置いておくと敵からのドロップするゴールドが1%アップだって」
「以外にも」
「これ、ざっと見た限りお金系ばかりね。装備品はないみたい」
「でも道中で手に入れたモノがかなり良いじゃないですか」
「あ、実績付いてる。なになに、「聖夜の魔女に祝福を」だって」
「最後の魔女はトロフィー的なもので道中の獲得品がメインのイベントだったのかもしれませんね」
「ボスあんなに強かったのに。ギミック無しなら倒せそうになかったわよ」
「ギミック無しなら報酬も変わったんじゃないですか」
「あぁ~、それはあるかも」
「ともあれ、これでクリスマスイベントは終わりかな」
「まだよ。ノートの持ち主が帰っているか確かめないと。、帰ってなかったら幼馴染を戴くわ」
「まだあきらめてないんですか」
「あっ、そうだ」
宝箱を回収して帰路につこうとしたところでクーガが声を上げた。
「どうした」
「ほら、サンタさん。手紙を届けたら何かお礼をくれるって言ってたじゃないですか」
「そう言えばそうだったわね。帰りに寄っていくか」
「さっぱりしてますね。クリスマスプレゼントみたいなもんですよ。ワクワクしませんか」
「クーガ君はクリスマスプレゼントもらえたら嬉しい」
「ソレはもちろん。いくつになても子供だなぁって気もしますけど」
「なるほどね」
「社長は嬉しくないですか」
「私は今年はあげる側になるつもりだから」
「――――えっと、それって……」
「まだ内緒。ほら行くわよ」
それから二人は仲良く片方が片方を肩に乗せて雪原を歩いて、サンタさんの元へとやって来た。
「はい、トム。あ~~~~~~ん♡」
「あ~~~~~~~ん♪」
「美味しいトム?」
「ああ、美味しいよエレジー」
「わーい。良かった。」
そしたらイチャコラしてるサンタと魔女を目撃してしまった。
「これは話しかけてもいいのかしら」
「もしくはクリスマスが終わるまでこのやりとりがずっと続くかもしれませんよ」
「おやそこにおられるのは」
膝の上にエレジーを座らせたサンタさんが二人に気づいて声を掛けて来た。
「おかげさまでこの通り誤解も解けて仲良くやらせてもらってます」
「……はぁ」
「リアクションしづらい」
「つきまして、お2人にお礼がしたいのですが」
「そのお礼をもらってさっさと帰りたい」
「ノエルこちらに」
サンタさんが声をかけると部屋の奥から一人の少女が現れた。
少女は頭にハイビスカスのような赤い花飾りを付けていた。
「こちらのトナカイをお礼に――――
「さぁ、クーガ帰ろうか」
ソラは最後まで言わさずに帰ろうとした。
一応、トナカイはクーガが受け取っておいた。
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