202010 ジャパロボ 27

渋谷かな

第1話 ジャパロボ27

「戦いを繰り返しても、犠牲者や新しい復讐心を生むだけだとなぜ分からないのですか!? 戦いからは何も生まれない!」

 激励会は順調に進んでいるかに見えた。加藤ジャパロボ防衛大臣と綾ジャパロボ幕僚長の夫婦スピーチが終わり、東京都代表の5人が紹介され、記者からの質疑応答が始まった時に事件が起こった。

「どこの記者だ?」

「大日本帝国新聞だってよ。」

 ざわつく会場。

「zzz。」

 寝るさとみとイリス。

「毎回、毎回、全国ジャパロボ大会はテロリストが現れるんですよ! そんな危険な大会を、まだ続ける気ですか!? 女子高生はあなたたちのおもちゃじゃないんですよ!」

 大日本帝国新聞の記者に変装した反大日本帝国同盟ジャパカイダのリーダー南である。入り口の検問も大日本帝国新聞といえばフリーパスであった。

「戦争のためのデータを取るためだけに、若者の命を犠牲にしていいのか!」

 みなみの演説は多くの人々に疑問を投げかけた。

「なら、あなたはどうしたいのですか?」

「全ての人々が平和に暮らせるように、大日本帝国の解体! 武力を放棄すべきだ!」

 みなみは戦争のない世界を作ることを目的としている。自分が姉を失って知った悲しみを誰にも味合ってほしくないのだ。

「いいでしょう。もし武力放棄をしたとして、テロが起こったらどうします? 誰が人々を守るんですか?」

「平和になったらテロが起こるとは限らない!」

 一歩も譲らない南の態度に会場の雰囲気は重くなっていった。

「うっ!? 苦しい!?」

 その時だった。会場の全員が突如、苦しみ始めた。

「助けて!?」

「毒ガスか!?」

「何が起こったんだ!?」

 例外はない。加藤夫婦や自衛官、記者、一般人など、多くの人々が突如地面に倒れ始めた。

「おかしい!? 私たちは何もしていないのに!? だが、この隙に逃げらしてもらうぞ。」

 みなみは混沌としている防衛相から姿を消した。

「こ、これは飯テロだ!?」

「飯テロ!?」

 厨房に急ぐさとみたち。

「やっぱり。犯人はお母さんだ!」

「ゲッ!?」

 さとみたちが厨房で見たものは料理をする祐奈であった。

「おお! よくぞ来た! 我が娘たちよ! 良かったら食べてくれ! お母さん特製のカレーライスだ! ハヤシライスもあるでよ! アハッ!」

「飯テロの現行犯でお母さんを緊急逮捕します!」

「え!? なんで!?」

 こうして祐奈は連行されていった。

「令和ちゃん、お母さんに料理させたらダメでしょ。みんな死んじゃうよ。」

「おやすみなさい。zzz。」

「ああ!? 寝て誤魔化した!?」

 AIロボットも寝て誤魔化す時代がやって来た。

 つづく。

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