雨宮天満宮
Keyを差し込み、
黄色いFIATに火を灯した。
時々
今日は心地良い音で息吹きだす。
ひたすら国道を進んで湖沿いの道でる。
雨宮天満宮に行くには県境を越える必要があった。
前には優美を助手席にのせて緑郎の運転する赤いハイブリッドカーが先導していく。
澄んだ青い空が眩しくフロントガラスに反射する。しばらく湖沿いの道を走ると梅花で有名な寺院の案内が見えてきた。
昔お父さんと一緒に見に来たのを思い出す。
2月になるとまだまだ寒気が残っているというのに綺麗な紅白の梅の花を咲かせる。
梅は咲いたか?
桜はまだか?
そう鼻唄を口に?しながら茶店で揚げた団子にきな粉をまぶして食べたのを昨日の様に覚えている。
今年は寒くて開花が遅れていると先日開花予報で言っていた。
梅の寺をすぎると細い道の住宅街に入りこんでいく。湖はいつの間にか源流に続く川の流れに変わる。大きな水門をこえた所のコンビニエンスに緑郎の車が入って行ったので、
あとを追って駐車場にクルマを止める。
一回休憩しましょうか?
うん。
緑郎がコンビニエンスで買ってきた、
カフェ・オ・レを私と優美に渡して、
自分はブレンドコーヒーを啜りはじめた。
雨宮天満宮には2つの神様が祀られているみたいですね。
一つは学問の神の菅原道真。
天満宮と名のつく所は学問の神様である菅原道真祀られているみたいだね。
福岡の太宰府天満宮、
京都の北野天満宮なんかがそれみたいね。
けれどこの神社は少し変わっていて、
その菅原道真公が怨念?から変化した
雷神さまを祀っているみたい。
2つ目の神様は
というのは水の女神様。
こちらは農業に従事する者の、
雨の神様。
日照り続きの時の雨乞いとか?
そういう感じでしょうか?
先生が神主とかもしれないという事実には、
特段驚きもしなかった。
なぜなら先生はやはり神道を心から崇拝していたからだ。
それに大学の教授である先生には、
当然神主の資格がある。
神主や宮司になるには、神道系の大学にある専門学科を卒業するのが一般的だからだ。
珈琲を飲み終えて再び車を走らせた。
今度は木に覆われた山道を弧を描きながら走る。私は乗り物酔いするほうだが、自分の運転の時は不思議と酔わない。
長いトンネル(トンネル出口4.5km)
を抜けると県境の看板が見えてきた。
緑の中を赤と黄色の車が走り抜けていく。
寒いのは、わかっているけど土と木々の香りを感じたくて窓を開ける。
心地よく冷えた空気、
山、土、そして木々の匂いの中に、
日本海の潮風のが混ざり込む。
もうすぐ海が見えてくる。
深月はこの道を何度も来た事がある。
けれど雨宮天満宮なんて名前は聞いた事もなかった。
観光名所でもなんでもからなのか、
はたまた小さな神社なのか?
たまたま生駒隆志という名前で
とつながっただけで、
コンタクトをとったわけではない。
とはいえ確かに朱い脈動を感じたのだ。
本当にそこにいるのか?
先生には会えるのか?
そう思うとドキドキが止まらず、
落ち着かない気持ちになった。
ドクン。
いや確かに朱い糸に近づいている。
むしろもうすぐ近くに感じる。
まずいな……。
いつもの様に朱い糸につながるのなら、
意識がとんでしまうかもしれない……。
と思ったその時、
前を走る緑郎の車が海へ向かう道から逸れて側道に入って行った。
車一台やっと通れる道を800m程すすむと、
駐車場があった。緑郎はハザードランプを点滅させてそこに駐車した。
緑郎にならって私もそこに車をとめた。
優美がこちらに向かってくる。
私も外にでる。
ここから少し歩くみたい。
あれ……?
ここは?!
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