情緒emotion

心にくぐもった深い闇は、

明るい月を覆い隠す夜の雲のようなもの。

月明りのあるうちに前に進まないと、

たちまち問題という雲たちに

光を遮られてしまう……。

しかしその月でさえも、

赤く燃える太陽の光がないと

闇を照らす事はできないのだ。

灼熱の太陽光は頭を焼き付け、

冷静さを欠かす。

白い雲は眩しすぎる光を遮り、

降りゆく雨は

時に心を濡らし癒やすのだ。


人間の作りというのは、

なんでこうも自然と重なり合うのだろう。

沢山の涙を流し心が少し晴れ晴れとした。

悪いものが全部でたみたい……。

こんなにもスッキリしたのは久しぶりに感じた。


最近疲れやすいのは感情がたかぶり、

情緒……心に起こるさまざまなおもい。

喜怒哀楽などにつれて起こる複雑な感情が不安定なのかもしれない。


ちなみに情緒には、 (emotion の訳語) 心理学で、感情経験の一種。

と言う意味もあり、

Emoは元々英語で「感情的な、情緒的な」を表す「emotional」が由来となっており、その後、感情を揺さぶられるような場面や一言で表現できない心情を表す際に幅広く用いられるようになった。また、その他に「何とも言い表せない、形容しがたい」を意味する日本語、「えもいわれぬ」が語源であるという説も存在する……らしい。


最近の人がよく使う

エモイ……もこれが語源かもね…‥。


深月さん?


と優美に言われて現実に引き戻される。


……大丈夫?


うん。

大丈夫よ。



物思いにふけると、周りが見えなくなる。小さい時から妄想癖があると周りから言われてきた。そういうところは父親譲りなのかもしれない。



白い花……。

甘野老あまどころの事を緑郎が調べてくれた。


アマドコロは、キジカクシ科アマドコロ属の多年草。日当たりのよい山野に生え、草丈50センチメートル前後で、長楕円形の葉を左右に互生する。春に、葉の付け根からつぼ形の白い花を垂れ下げて咲かせる。

食用や薬用にもされる。


3〜4月に旬を迎える山菜の一つ。


蕗の薹や、ワラビ、ゼンマイとかは知ってますけどね。こんな山菜があるとは知りませんでしたよ。


そもそもなんで先生が見た花が甘野老とわかったんですか?



先生がね、

神棚の花を見た時に、口にだしてそう言ってたの……。


静子……。

甘野老…アザミ?!


ってね。

静子って言うのは先生の奥様の事ね。



なるほど……。



ならばこの花言葉は先生に向けられたものなのかもしれないね。


①元気を出して、

②心の痛みの分かる人

③小さな思い出。


先生を一人にしてしまうという不安と、

自分の心の痛みを気がついて欲しい気持ちと

それから沢山の思い出が込められているのかもしれない……。



ちなみに甘野老の別名は

「キツネの提灯」


やはり島で見た白いキツネは静子さんの

思いなのかもしれないね……。


アザミもきっと植物の薊だよね。

そちらも調べてみようか……。



そう言いながらパソコンで検索しはじめた。



アザミ(薊)は、キク科アザミ属 (Cirsium) 及びそれに類する植物の総称。標準和名を単にアザミとする種はない。スコットランドの国花。 アザミの根は、山牛蒡(やまごぼう)として漬け物に用いられている。


へぇー

山牛蒡て薊の根だったんだね。


で、アザミの花言葉は……。



緑郎が画面を見ながら硬直してしまった。

表情もおもわしくない……。



どうしたの?

薊の花言葉は何なの?


と優美がきく。



薊の花言葉は


「報復」「触れないで」……。


こうしてまた月光つきひかり

雲が遮りはじめる…。

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