やまないあめ

雨月 史

枯葉のように落ちていく

 昨日まで色づくのを躊躇っていた木々が

冷たい風をうけて慌ただしく頬を明らめていく。

そして色づく間もなく散っていく。


 若い時は専らアイスコーヒーだったけど 痩せて血管の浮き出た腕を見ながら、

どうやら私には体を発熱するエネルギーが足りないらしいと感じざるを得ないのだ。


 最近ではコンビニでも美味しいカフェラテ安くが飲める。

けれども今日は仕方がなしに喫茶店に入ることにした。

この喫茶店ではコンセントが使える。

モバイルバッテリーは持ち合わせていないので、スマホが限界に近づいていたのだ。


年末になると電車の遅延が増えるのはなぜだろうか?

もう一時間も停まっている。


いや本当はわかっている。

おそらくまた誰かが人生をなげだしたのだ。


自分が何色なのかもわからず、

世間と流行りに染められて

冷風に晒されて

枯葉の様に落ちていくのか。


対岸の火事か

明日は我が身か


財布の中身を確認して

あと何日生きられるかを考える。


考えるだけ無駄

考えてもお金は増えない。


子供の時は裕福だった。

でもそれに気がついたのは最近だ。

変えても変えても定まらない仕事。

入っては消えて行くお金。


小さい時の苦労がないと

お金に執着が薄れてるのだ。

だからいくら経っても貯まらない。

あればあるだけ使う。


そうして落ちていくのかも知れないなー。

悲しき定めか。


変え行くは自分次第か…。


ならば今は腐葉土になすべく

枯葉となろう。


落ちて土塊の要素となろう。


いや

それでは幸せにはなれないなー。

そう思いながら今日も仕事に向かうのだ。


450円になりまーす。


そうして今日の昼飯代はコーヒーにきえた。


また明日も生き抜くために、


店の入り口を後にした。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る