世界樹になりました、最高神の一本です。
平和な松の樹
10^n本目 そうこそおいでくださいました、これが私の世界です。
1つのとても大きな世界があった。
どんなに頭のいい人であったとしても想像し尽くす事の出来ないであろう広い世界。
どんなに勇気と行動力がある者でも全てを周るのは不可能なほど広い世界。
そんな広い世界の一角には、1本の巨大な樹があった。
その樹の頂点はその世界の枠を超え宙を脅かし、その樹の根はその世界の反対の地面に頭を出してしまうほどに巨大であり。
その樹の存在は世界の反対側にでもいない限り、何処からでも観測できるほどだった。
そしてその樹は、世界樹や宇宙樹、ユグドラシル、又は単純に神樹などと人々に呼ばれ、崇められている。
その樹が存在する大地もまたおかしかった。
地面というものはとうに忘れ去られてしまい、そこには、神にも人にも忘れらられてしまった悲しき魑魅魍魎が跋扈しているのだ。
そんな地面からは、世界樹と比べてしまうと小さく感じるが、普通の木とは比べ物にならないぐらいの巨大な木が立ち並び、その枝からはさらに別種の木が生えている。
そんな木の上には国があり、その中で生活が成り立つほどの設備があるのだ。
そんな世界に住む人々は皆口々に噂する。
曰く、世界樹の枝の1つには妖精達の国があるのだと。
曰く、世界樹の枝の1つには小人の国があるのだと。
曰く、世界樹の根は冥界へと通じていると。
そして、世界樹の果てには神々がおわす世界。神界があるのだと。
そんな植物と共にある世界の空を覆い隠す世界樹は、天の光を分け与え見守りながら。
誰にでも聞こえるような大きな声で、しかし、誰も驚かさないような優しい声で言うのだ。
——
と。
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