ジョアンナのメモ帳:山城涼風について
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年齢は見た目から二十代中盤くらい?
服装は自動車工場で働いているようなヤツが着ている青いツナギ(多分下は何も着ていない)。
臭いは火薬やら爆薬やら機械油やらの刺激臭が主な物。金属の粉の臭いもした。
職業はおそらく秘密裏に銃を捌くタイプの非合法なブローカー。ひょっとしたら銃以外のものも売っているかもしれない。
不思議なことに殺しの臭いはしないので、ギリ付き合える範疇の人間。五香の見立てでは『歌舞伎町三丁目に入ってから初めて出来た協力者』。
矢文を射るという物凄くアホな方法で、三丁目のルールを私たちに伝えた恩人ではあるが、協力の理由は一切不明。
ただし、私ならある程度の類推はできる。
ツナギの下に何も着ていないのは、おそらく売ったからだろう。この町では金で買わなければ人権は存在しない。ツナギからは『お古』の臭いがするし。
何かの悪事を働いた後で急いで三丁目に駆け込んだのはいいものの、そこから先はまったくノープランであり、あっさりと金が吹っ飛んだのだと考えればしっくり来る。
外に出たら五香の伝手で逮捕させるのが一番いいかもしれない。別に恨みはないが、かと言って犯罪者を野放しにする気もないし。利用するだけ利用してポイさせてもらおう。
ところでこの山城、私と相対していると恐怖と焦りの臭いを露骨に分泌する。まだ蹴りを入れて気絶させたことを根に持っているのだろうか。
得意分野は武器の急造。それに伴う物品の審美眼。後で五香が、彼女の作った弓と矢を私に見せてくれたが本当に見事なものだった。
一射しかできないが、その一射に限りまともな弓を僅かに凌駕する威力を叩き出す構造には眼を見張る物があった。
きっとキチンとした設備の上で銃を作らせればいい物を作成してくれるだろうなと思う。
まあ今私がよく使っているハンドガンよりも使いやすいものはそうそう作れないだろうけど。(五香に訊いてみたら『ふぁいぶせぶん?』の改造銃らしい)
……そういえばこの銃、不自然に臭い消しをされた形跡があるのだけど。そこだけが唯一の不満点だ。ふとしたときに気になる。
やっぱり一丁くらいは作ってもらおうかしら。
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