まず最初に借金背負わせるな(バシリス・クライム)

 ちまたりのゲーム。あたえられた無人島を自分好みにかいたくしていくらしい。

 花を植えて交配したり、たまに美術品のにせものつかまされたり。

 定期的なアップデートのおかげで季節イベントにも対応しているとか。

 

 実はおれ――さいサイタも遊んでいる。

 動物住人がわいくて。あと歴代シリーズも好きだし。

 

 やはり知名度ゆえか、あまりゲームに興味を持たないララや、つねごろからバイト代が食費に消えているだいヤマトもプレイしていた。

 あまとりヤクモは受験生であることや、ボートゲームは遊んでもテレビゲームの類は苦手らしい。

 あおシュウはきょうだいあたえたらしい。誕生日プレゼントで、奮発したとか。

 

 まあここまではプロローグにすらならないんだよな。

 一番身近にいるゲーマーの島が完成度高すぎるせいでな。なんだこのちょうぜつおしゃれ映画な感じのクリエイト加減は。

 お手製看板や銅や鉄の質感を利用し、近現代のちょっとレトロなふんを再現している。

 

「高低差でおくきを計算し、島の植物を実際の生態に合わせて……」

 

 あのくるるクルリが「メンドー」も言わずに熱中している。しかも本格的すぎてきょうを感じる。

 建築仕様書とか庭の構造、パース技術に植生研究書とか。せめてこうりゃくぼんを買ってくれないか。

 その横で虫取りやさかなりに興じるかがみテオを見習いたい。雨が降っているとれる高級魚をばんばん釣っているのうらやましい。

 

「白い家具がしいな」

 

 多々良ララの島はメルヘン風味で、花や白の家具など可愛いものでまとめている。

 しかも意外とセンスがいい。外見がイケメン女子なせいで忘れがちなんだが、洋服の選び方もいしな。

 

「果物に畑、焼き魚用のキャンプファイヤー……」

 

 大和ヤマトの方はなんていうか、食事一直線だ。果樹園を作り、集める家具は調理関係ばかり。

 気のせいか……住人も牛型とか鳥型とか、食えそうなのばかりだ。お、ぶたもいるな。

 俺、こいつとだけは絶食空間で二人きりになりたくねぇな。それ以外ではたよりにしているけどよ。

 

だれか季節素材とか持ってないかー」

 

 まあなんていうか協力プレイみたいなのもできるし、結構楽しい。

 リビングのゆかに集まって、全員が好き勝手に遊ぶ。こういうのって手に持っているものは変化しても、変わらないなって思う。

 

 ただ一つ。

 

「野菜価格が乱高下だと!?」

 

 このギャンブルや株投資にも似たシステムだけは、色々と物言いたい。

 ジリひん島生活。開拓もままならねぇ。やはり世の中は金なのか……ゲームなのに生々しいぜ。

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