第7話 幼女使用人 メリィ
『ここは…。』
豪華なベッドの周りには、光り輝く
俺って確かに撃たれたよな…。
小太郎が覆い被さる掛け布団を足でパタパタしていると、ガチャっとドアノブを触る音が聞こえた。
何故か咄嗟に首元まで掛け布団を被り直すと、寝たふりをしてしまった。
『入ります…ブレス様。』
小太郎は薄目を開いてあのメイド姿の幼女を見ていた。
すると、銀色のトレーの上には木製の器がのっており、白い湯気が立ち込めていた。
その器に入っているであろうモノは、この幼女が入室してきた時から分かっていた。
(たぶん、シチューだなっ。)
幼女はベッドの横の机にトレーを置くと、軽く咳払いをして、小太郎の方をじっと凝視している。
森で襲われた時はよく顔が見えなかったが、今はよく見える。
森人の高潔な
ビー玉の様に透き通った青いアースカラーの虹彩。
そしてトドメのぱっちり二重瞼。
間違いない…。好みです。付き合ってください。
いやっ、妹になってください。
何だこの男の性癖を一つに集結させた様な
おじさんはもう死んでいいよっ?
百人作んなくていいから。
因みに男には五言目まである。
「ブレス様はまだ寝ていらっしゃるのですか? 早く起きてください…出ないと私、寂しいっ。」
戯言を脳内で巡らせていると、
あの幼女が添い寝をしてきた。
あんなに可愛い子が寂しいと嘆いている。
俺はなぜ寝たふりをしているんだ。
拉致されたのはどうでもいい。
肝が座ってないでどうする。
いざっ、
『どうしたんだい、ろりっ…メイドさん。』
「はぁ? やっぱり寝たふりだったのね。」
小太郎は思わず跳び退いた。
『えっ…その、俺にっ…』
「もしかしてまだ寝ぼけてる?」
『あっ、あのぉ…どんなに可愛くても、初対面で厳しすぎません?』
「カワっ…?!あんたそれでも私のご主人様なの?」
『はぃ?!』
幼女はベッドにあった枕を俺に投げつけてきた。
小太郎は取り敢えず、口を開けて固まるしかなかった。
(確かにメイド喫茶には通い詰めてるのは事実だけど、こんな幼女は指名したことないぞ。)
「そう。じゃ…寝ぼけた頭をかっぽじって聞きなさい。
私の名前は、ここ'辺境の館'の専属
以後お見知りおきをぉ!」
『はっ初めまして…封魔 小太郎って言います。
主に工業部品の販売業務を軸にした中小企業の会社員です。
よろしくっ。』
思わず、合コンみたいなノリの挨拶をしてしまった。
まぁ、合コンを経験した事など皆無なのだが。
『まっ。そゆことで宜しくたの…』
「もしかしてまだ…」
幼女はベッドのシーツを握りしめ、涙ぐんだ。
その姿は何故か、他人面をした俺の胸を強く締め付けた。
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