勇者の災難、避けるの至難、転がり落ちていったのは階段

青い空、白い雲、飛ぶ勇者。

そんな清々しい朝での魔物との戦闘中、勇者は吹き飛ばされていた。


…仲間の戦士によって。


・・・・・・・・・


魔物の群れ(二匹)が現れた!

勇者の攻撃!

聖剣が魔物の首に向かって放たれる!

しかし、避けられた。


戦士の攻撃!

超重量の金属でできたハンマーが魔物に

迫る!

魔物Aは回避した

魔物Bは回避した

勇者は吹き飛んだ


「あああぁぁぁぁぁあああ(ドサッ)」


勇者のフリーフォール《自由落下》!


魔物Aはドン引きしている!

魔物Bはドン引きしている!


ウィザードの攻撃(物理)!


魔物Aは倒れた。


「寝てないでさっさと起きろ勇者ガッ」


「いてぇっ!ハッ⁉︎俺は勇者だぞ!ひれ伏せや魔物!」


「フッ」


しかし、効果は無かった。


「魔物のくせに鼻で笑いやがった⁉︎」


いまだ立ち上がれていない勇者に魔物が襲い掛かる!


「ガウッ(ガブリ)」


「ああっ!勇者様が食べられてる!助けないと…せやぁっ!」


戦士の攻撃!戦士はハンマーを勢いよく振り下ろした!(範囲攻撃)


魔物Bにクリティカル!

勇者にクリティカル!

魔物Bは倒れた。

勇者は倒れた。


〜魔物のステータス〜

Lv.70

HP:1000

MP:100

ATK:300

DEF:300

AGI:700

討伐時獲得経験値:1


勇者の次のレベルまでの経験値:931


・・・・・・・・・


『ハッ⁉︎ここは…教会か。』


『おお勇者よ、死んでしまうとはw情けないww

俺の城にたどり着けもしないではないかw

そんなんで前回はどうやって魔王城にたどり着いたんだ?』


「なっ!魔王⁉︎どこにいる!」


『魔王城からテレパシーで話しかけている。ちなみに驚く勇者の姿も千里眼で見ているぞ。もちろん一人で喋るお前にかわいそうな人をみる目で見ている仲間と教会の者もな。(プッ』


「スキルの無駄遣い過ぎるだろ⁉︎」


「戦士に吹き飛ばされて勇者の頭のおかしさに磨きがかかってるんだけど…どっかに捨てとく?」


「もう一回殴ったら治るんじゃないかな?」


「吹き飛ばしてすいませんでした勇者様!」


「何回目だと思ってんだ!本当に反省してんのかよ⁉︎」


ヒーラーとウィザードは置いといて、戦士はハンマーで範囲攻撃をするのが悪いのではないだろうか。


「こうなったら俺一人で行く!お前らはここにいろ!」


・・・・・・・・・


「はぁ、はぁ、やっと魔王城にたどり着いた。今までなかなかたどり着けなかったのは絶対あいつらのせいじゃねぇか…」


だが、結局勇者は割とボロボロである。


「とにかく、さっさと門を開けて乗り込んで魔王をぶっ飛ばしてやるぜ!」


(ゴゴゴゴ)


そして勇者が無駄に重い魔王城の門を開けたその時、

勇者が立っていた地面が消えた。


「ふあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」


・・・・・・・・・


勇者が気絶から目を覚ますと、そこは薄暗い地下室だった。石造りで壁には苔が生えている。そして勇者は正面に看板があることに気づいた。


(ダッセw勇者なのにふあぁぁってw)


勇者の怒りが一瞬で低い沸点を超え、文字が書いてある看板を破壊しようとしたその瞬間、一枚の紙が勇者顔面に張り付いた。勇者が地下室の湿気か勇者の鼻の皮脂でくっついたのかも分からない紙を引っぺがし、それを見た。それは情けない顔で落下する勇者の写真だった。

非常に情けなく、面白い顔である。


勇者の攻撃!

紙に0ダメージ!

紙は魔法によって無駄に頑丈だった。

勇者はファイアーボールを繰り出した!

しかし、紙は魔法を反射した!

勇者に50ダメージ!

勇者の鼻の皮脂が燃えた。


勇者は怒りに任せて落ちてきた部屋を飛び出した。


魔物Aが現れた!

勇者は八つ当たりをするために思い切り剣を振り下ろした!

しかし幻影だった。


空ぶった勢いで勇者が転がる。それを見越していたかの様な階段!(下り)

勇者は地味に角度がついていて痛い階段の角に体をぶつけながら転げ落ちていった。


勇者が本日四度目の気絶から目覚めると、

目の前には広大な迷路が広がっていた。

勇者は現実逃避するように目を逸らし、

転げ落ちてきた階段から戻ろうと階段を探した。

しかし階段は届かない高さにあった。

しかもよく見ると階段からはローションの様なものが滴っていた。

勇者が転がりやすくなるようにというか魔王の配慮なのだろう。ナンテヤサシイマオウナンダロウ(棒)


〜1時間後〜


勇者は諦めて迷路に入った。


迷路の中も落ちた地下室同様に薄暗く、通路の奥の方までは見えない。しかし進むしかない勇者は仕方なく、嫌だが本当に仕方なく迷路を慎重に進んで行ったのだった。



・・・・・・・・・

一方、勇者が魔王城についた頃の魔王は


「…よし、そのまま、ぐっと門を開け!」


((ゴゴゴゴ))


(「ふああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」)


「(´^ω^`)ブフォッwwwふあぁぁだってふあぁぁ!www腹が、痛くなるw」


魔王は魔道具を使ってちゃっかり一部始終を見ていた。

後にこのことで煽られる勇者が脳裏に浮かぶようだ。勇者、ご愁傷様。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る