「天空の城ラピュタ」は、名作!

 最早説明不要のアニメ会社、スタジオジブリ。その有名な一作である天空の城ラピュタは、僕の中で一番好きな作品です。映画の興行収入としては「千と千尋の神隠し」が最も高いですが、少年向けの冒険譚としては、ラピュタが一番ですね。いにしえの血統を受け継ぐ少女と、それを助ける少年の物語は、正に王道。文字通りの「ボーイ・ミーツ・ガール」です。僕はラブコメ(純愛、ハーレムを問わず)系も一応書きますが、個人的にはこういう物語の方が好きです。。不自然なくらいに鈍感で、すかした態度をとる主人公よりは、自分にとって何が大事なのかをちゃんと分かっている主人公の方が、ハーレム上等の主人公よりも好感がずっと持てます。というか、それが本来の主人公だとさえ思います。主人公は、物語の軸となる存在。どんなに辛い境遇であっても、それにめげず、周りの人々からさげすまれようが、自分の信念を貫き通す存在だと思っています。自分の愛する人は、「好きだ」と思った女性は、自分の命に代えても守り抜く。


 その意味では、ラピュタは正に「お手本」と言えるような作品だと思います。パズーとシータの関係は「恋愛」よりも「友情」に近いかもしれませんが、その爽やかさがたまらなく良いんですね。変にベタベタしていないのも良い。少年向けの作品は、(恋愛やラブコメがテーマの物を除いて)物語の主軸となる要素を第一に描き、恋愛やラブコメ的要素はそれの味付け程度がちょうど良いと思っています。そうしないと、冒険の中に恋愛があるのか、恋愛のために冒険があるのか、分からなくなってしまいますからね。単に恋愛したいだけなら、物語の舞台も別に異世界でなくて良い。異世界物には、異世界物でしか味わえない物がありますからね。それらがもし、ただ恋愛を描くためだけの舞台装置だったら? なんだこう、「うーん」としてしまいます。恋愛を含めた人間模様は物語の基本ではありますが、それがあまりに強く押しだされていると、僕個人としては微妙な感じになってしまいます。「僕は、恋愛小説を読んでいるのか?」と、複雑な気持ちになってしまいますが……。


 それでも、面白い話があるのも事実。物語の内容によっては、夢中で読んでしまう作品もあります。「恋愛」と「世界観」がうまい具合にかみ合っているんですね。どちらかがどちらかを殺すことなく、両方の良いところを活かし合っている。正に「相互補完」といった感じです。天空の城ラピュタは「それ」とは違う方向、SF(特にスチームパンク)の方向に行きつつも、様々な社会風刺や警鐘っぽい要素も含ませている、普通の人からマニアックな人まで狙った、クオリティの高い作品だと思います。作中では、パズーが「ラピュタは、スウィフトの想像」と言っていますが、原作「ガリヴァー旅行記(若しくは、「ガリヴァ旅行記」)の第三篇に出てくるラピュタもなかなかにえげつない。「科学」と「統治」の怖さを描いた内容になっています。これはあくまで僕の主観ですが、「現代にも通じる課題が書かれた内容だ」と思いました。スウィフトも事実、当時の社会を批判する内容にしたかったようですし。その片鱗は、天空の城ラピュタにも窺えます。人間は、土から離れて生きられない。そんなに素晴らしいメッセージを書こうと思っても、ペラペラな恋愛が「それ」をかき消してしまう。すべての作品が「ダメ」とはいいませんが、特殊な環境を描く作品なら、その特性が存分に活かされている物、テーマ性の深い物の方がいいですね。


 そんなことを思っている僕が考えた作品が、まめまめ君……。「ダメだこりゃ」

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