創作に役立つ資料? 自然科学(化学編)
資料シリーズ第三弾。今回のテーマは、自然科学の化学になります。化学は自然、人工を問わず、その化学的性質を研究する学問。物質の根幹に迫り、その構造を調べる学問です。化学は人間の歴史に大きな利益をもたらしてきましたが、同時に考えるべき課題も与えてきました。二酸化炭素の大量放出による地球温暖化、不法な化学物質の流出による海洋汚染、化学肥料の使いすぎによる土壌汚染。化学は原子と原子を組み合わせることで、新しい物質を作り出すこともできる夢の学問ですが、一歩間違えば、人間の存在自体を脅かしかねない、諸刃の剣ともいえます。化学の力をどう使うかは、人間の心次第。SF小説のテーマとしても、「人間」と「化学」の対比から人間社会に警鐘を鳴らし、環境破壊についての意識を訴えかける物、あるいは、そこから生じる悲劇を描く物も決して少なくないと思います。
その意味では、SF系の作品には、「化学」に関する知識はほぼ必至といえるでしょう。化学の諸知識、あるいは、そこから生まれたアイディアが書かれていないSF小説は、読む人によっては不満を抱かれるかもしれません。僕は数ある創作物の中で、SF系の作品が最も難しいと思っています。それに続いて推理物、特定の専門性が重んじられる物、現代ドラマは三番目くらいでしょうか? それら以外のジャンルももちろん難しいですが、現代の化学を学び、そこから現実性のあるアイディアを膨らませなければならない意味では、SF系の作品がやはり一番難しいと思います。僕もSF系の作品を何冊か読み、自分でもそういう作品を書こうと思いましたが、かなりの勉強が必要であるのが分かったため、今はSFモドキで誤魔化している感じですね。ただちゃんと極めれば、物凄い名作が書けるジャンルであるともいえます。
SF作品は、決して絵空事ではない。現代社会が進んだ先に待っている一つの結果として、ある種の預言書にもなりえます。その預言書を書くためには、化学の知識がやっぱり必要。「あらゆる原子の原子量が、炭素原子Cの原子量を基礎にしている」といった知識が必要になる……と思いますが、そこは書き手のさじ加減かもしれません。SF小説だからといって、化学的な要素が必ずしも関わるとは限らない、それが主題として書かれない作品も、書けないことはないからです。特に「平行世界(または、並立世界)」、「時間移動」などの要素は、その具体的な内容が書かれていなくても、結構な人が知っている概念だと思います。これらは、SF作品のみならず、様々なジャンルの作品にも応用が利き、また、「パラレルワールド」や「タイムトラベル」といった言葉もかなり一般的だと思うので、汎用性はかなり高い。正に困ったときのタイムリープといった感じです。「同じ時間を何度も繰りかえす」という技術は、多くの作品に取り入れられていますからね。こいつを使わない手は、ありません。
ですが、それでも本格派を書きたい人はいる。他の追随を許さない、本気の科学小説を書きたい人はいます。それがたとえ、異世界を舞台にした作品であったとしても。異世界物でよく出てくる錬金術師の技術は、本来の目的こそ果たせなかった(らしい)ものの、近代まで繋がる科学の基礎を作りましたし、その基礎が現代でもしっかりと使われています。質量保存(ラボアジエ)の法則から、その他様々な法則まで。これらは、化学の教科書に載っている法則です。専門的な知識は、やはり専門的な教育機関で学ぶ必要があるでしょうが……。そこは、じっくりコツコツです。
僕もじっくりコツコツ、「自分の作品を書けたらな」と思います。
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