第4話 - 集落襲撃

前日に仕掛けた罠の仕掛けを行い

ジャイアントボア、シージボアを探した

ジャイアントボアは大人ほどの体高がある大きなイノシシ

シージボアはジャイアントより一回りほど小さいがパワーはジャイアントより上だ

その名の通り壁などを簡単に貫くほどの威力を持つ


数日前からオークの集落の近くへ餌を巻いておき、ボア達が通るように仕掛けておいた

餌の位置を見に行くと、ジャイアントボア二匹、シージボア一匹がちょうど集落の近くに来ていた


来ない可能性も考慮していたが運よく来てくれて助かった

フルーフと顔を見合わせ、位置に着く


集落の近くへイノシシの興奮剤を投げ込むと餌を食べたイノシシたちは興奮剤に群がる

興奮剤を食べ終わる頃フルーフのハンドサインが見えた


ジャイアントボアへスリングで石を投げつけると大きな鳴き声と共にボアたちは一斉に走り出した、オークの集落へ一直線に向かい木杭を吹き飛ばしながら中へ入っていく


エーサーとフルーフも後を追い、ボアたちに吹き飛ばされたオーク達から優先してトドメを刺していく

転んだもの、ボアたちに気を取られているものなどに素早く近寄る

気づかれないように物陰から近づき、首、頭へ一撃をお見舞いする


ボア達は通り過ぎては引き返し、何度もオークの集落を攻撃した

ボア達がオークに仕留められ、残りのオークが10体ほどになったころ、さすがに異変に気づきエーサーが見つかってしまった


エーサーは素早く退却し、罠へ誘導する

ひとつ、またひとつと罠が作動しオーク達は数を減らしていった


強いが頭が悪いため罠などには簡単にひっかかる

巨体のせいもあって一度走らせるとなかなか止まれないのだ

罠を全て使い切りエーサーを追ってきたオークは残り1匹となった


エーサーは無防備にオークへ近づくとオークはこん棒を大きく振りかぶる

振り下ろすと同時にエーサーは背後に回り込み首に斧を叩きこんだ


「フルーフはうまくやっているかな?残りは3体くらいのはずだ」


急いでフルーフの元に戻るとオーク二体を殺し、シャーマンを捕虜としていた


「さすが先生、お見事」


フルーフはオークシャーマンを縛り上げながら返答する


「ありがとう。うまくいったね」


オークシャーマンは気絶させられている


フルーフがおもむろにオークの死骸を一か所に集め始める


「何してるんだ?」

「集めて焼くの、死肉に釣られて新しい魔物が来ないように」


確かに、はぐれ程度ならいいのかもしれないがこれだけの数がいると大きな魔物も寄ってくる可能性は捨てきれない。俺も手伝って焼くことにした


オークを焼き、集落を物色し終えたころにオークシャーマンは目を覚ました

右へ左へと顔を動かし、自分以外のオークが全滅したのを見るとブルブルと震え出した


「《お、俺をどうするつもりだ》」


フルーフが気づき、シャーマンの元へ近寄ると剣を首に当ててオーク語を喋り始めた


「《呪印を消す方法を言え》」

「《こ、言葉がわかるのか!?ニンゲン、助けてくれ》」


フルーフは剣を引き、オークの耳を切り落とした

シャーマンは泣き叫ぶ、フルーフは泣き叫ぶオークを蹴飛ばし、また剣を突きつける


「《呪印を消す方法を言え》」

「《お、俺は知らない…砦にいる司祭様なら知ってるかもしれない…》」

「《砦?どこにある》」

「《い、遺跡の中だ…大きな崖に囲まれた遺跡だ》」


フルーフは剣をためらいもなくゆっくりと突き刺し

悲鳴をあげるオークをいたぶるように時間をかけて殺した


エーサーはまるで意思の疎通ができているかのようなフルーフに疑問を持った


「今、オークと喋っていたのか?」


フルーフは剣の血を拭きとりながらエーサーを見る


「そうだ、呪術書を見たりオーク達の言葉を聞き、観察して覚えた」

「信じられない…憎んでいるのではないのか?」

「だからこそだ。オークの言葉が解れば私たちに通じないと思って機密を漏らす」


なるほど、一理ある

言葉が通じない相手だと思って大きな声で作戦を叫んでしまうわけだ

戦う俺たちはそれを聞きながら対応すればいい

もし簡単なら俺も覚えたい、情報力で圧倒的な差を作ることができる


「覚えるのにどれくらいかかったんだ?」

「エーサーも覚えるか?単語は多くない、数か月で簡単な命令文は覚えられるぞ」

「役に立ちそうだ、是非教えてくれ」

「いいよ、まずは拠点へ帰ろう」


フルーフは頷くと荷物を背負って拠点に帰り始めた

俺も物色した荷物を背負って歩き出す


二人で集落を襲撃したのは今回が初めてだったがかなりうまくいった

フルーフは今までこれを一人でやっていたのだろうか?

今回は傷を負う事もなかったが今までは傷を負う事も多かったんだろうか?

まして背中などの治療しにくい部位だったりすればきっと命を落としていただろう


何度も死線を潜り抜けてこれほど鮮やかに倒す方法を身に着けたんだ

いつまでもフルーフに勝てないわけだと思いつつも、鮮やかな手腕に憧れ、尊敬した


「フルーフ、そういえばオークに何聞いてたんだ?」

「呪印の解除方法だよ、知らなかった」

「そうか…残念だな」

「砦の司祭なら知っているかもしれないという話は聞けたぞ。嘘かもしれんが」

「ふーむ、まぁでも行く価値が無いわけじゃないだろ」

「まぁな、砦というからには数が多そうだし、もう少し先になるだろうな」

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