◇04 つづき:リサと親父さん
俺が語るおとぎばなしに、リサは夢中で聞き入っていた。ガキのころと同じきらきらした目で、懐かしくなる。
「おまえほんと、このはなしが好きだな……。ぜんぜん変わってねえ」
「えー! 私も変わったよ。だってこの話すごく面白いもん」頬を
「『
「はいはい、そうですか」
……まったく。心のおくでため息をついた。
すると彼女はふいに、窓に目を向ける。
「
リサが操縦席の景色を眺めるなか、俺は遠くの茶色い惑星に目をこらした。近づいた実感はまだ無いが、着実にあの惑星に向かって進んでいる。
俺は
「寄り道の件だが、すこし時間を食うぞ。大丈夫か予定は」
「うん……大丈夫だよ。急ぎじゃないから」
そう答えたリサの顔は、とたんにしぼんだものに変わった。
思えばこいつに疑問を感じる。偶然再会したまでは良い。だが花を渡してきたり暗い顔になったり、ひいては寄り道さえすんなりと受け入れる……。どういう理由で定期便を待っていたんだ。
「どうしたリサ」
「うん? なんでもない」
すぐにはぐらかされた。
「あの茶色い惑星にいくの?」
リサが指をさす。目的の星だ。
「ああそうだ。まだかかるな」
俺はおとぎばなしを続ける。リサが惑星を奇妙そうに眺める横顔に、目を向けながら。
**********************************************
――朝になりました。きょうから女性と、ごみ惑星で新しい生活がはじまります。
しかし少年はそのとき、嫌な夢を見ていました――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます