202010 ジャパロボ 23

渋谷かな

第1話 ジャパロボ23

「ようこそ、都庁へ。」

「これはこれは。東京都知事自らお出迎えとは。さぞ、ジャパロボ強奪事件の責任問題で焦っているのですね。」

 綾幕僚長がやって来たのは都庁であった。大江東京都知事が玄関まで出迎えるという異例の歓迎ぶりであった。

「綾幕僚長、マスコミがきていますので、まずは握手と笑顔で撮影会をお願い足します。」

「そうだな。国と東京都が仲が良いとアピールしないといけないからな。」

 無限のフラッシュがたかれる写真撮影の中で大江都知事の笑顔はぎこちなかった。

「幕僚長以外の方は外でお待ちください。」

「そんな!? 敵の本拠地に綾幕僚長を一人で行かせるなんて!?」

「大丈夫だ。麻衣。待っていろ。」

「しかし!?」

「祐奈なら私一人を生かして都庁を破壊することができる。私はそれぐらい祐奈をしんじているんだよ。」

 こうして綾幕僚長は一人で都庁に入っていく。


「申し訳ありません! 申し訳ありません! どうかお許しください!」

 大江都知事は膝をついて泣きながら土下座する。

「おまえの代わりに東京都知事に天下りしたい人間はいくらでもいるんだぞ。よくもジャパロボを奪われてくれたな。」

 二人っきりになると都知事の立場は弱かった。

「助けてください!? 私はまだ東京都知事をやめたくありません!? もう少しで任期満了の多額の退職金が手に入るんです!? 私は都知事をや辞めたくない!?」

「少しは都民のことを考えないのか?」

「自分が良ければいいんです。アハッ!」

 既得権益者は私利私欲の塊でお金の亡者だった。

「それでも奪われた都庁のジャパロボ01は自衛隊機でいえば03タイプです。そこまで気にすることはありませんよ。」

「だが、市販のジャパロボよりは強いぞ。それに一番の問題は、都庁のジャパロボにはブレイン・ウェイブ。システムが搭載されていることだ。」

 脳波でジャパロボを動かすシステムである。

「でも未完成のシステムですし、大したことではありませんよ。」

「確かに。完成していれば、おたくの01改のパイロットでもジャパロボの強奪を阻止できただろうからな。それとも阻止できなかったということは・・・・・・パイロットは強化人間か!?」

「ギクッ!?」

「うちの祐奈みたいに強い気持ちを持つ者ではないのだな!? なんと愚かなことを!? 生身の人間の遺伝子を操作するなどと!?」

 外で祐奈と睨みあって待機している麻理子は強化人間だった。

「zzz。」

 そして祐奈はコクピットで昼寝中であった。

 つづく。

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