わたしを愛した偶然と必然
未央
第1話 自信家
「何で連絡くれないの?」
「24日時間作れない?」
「仕事終わったら飲みに行けませんか?」
そもそも、何でこんなことになっちまったんだろう。
最初は、こっちが勇気出して頭下げて言ったんだ。「俺とどう?」
それに対しての答えは、薄ら笑いを浮かべながらのはぐらかし。おまけに、少し黙ったあと「そういえば洋子ちゃんの気持ちには気付いているの?」と、句読点というものを知らないかのように、ひと息もつかずに早口で言うなんて。すっかり肩透かしを食らった俺は、あいつの思わせぶりだった今までの態度を思い出しながら呆然とする。
あいつをひと目みたときに「!!」と衝撃だった。何て可愛いんだ。何て「マブいんだ」。顔の小ささ、大きな瞳、すらりと伸びるやや細めの手足の長さに吃驚するしかなかった。まるで人形みたいだ。
ふたりで度々一緒に飲みにも行ったし、「メシを食いに」も行った。もちろんあいつの“友達”の
根拠のない自信にあふれていた俺、20年前の俺。この時点では、俺のふわふわと浮ついた態度があんなことを引き起こすとは、これっぽっちも想像だにしていなかった。
これっぽっちも、だ。
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