第21話 幕間 ~訪れた目覚めが呼ぶものは…~
???
暗く大きな部屋には、大きな寝台が置かれていた。そこには男が眠っている。
「…………」
寝台に眠っていた男が静かに目を開け、ゆっくりと上体を起こし伸びをした。
「ん~ 我はどのくらい眠っていたのだ?」
男は呟くとその場に別の男が音もなく、現れた。
「お目覚めになられたのですね。我々一同貴方様のお目覚めを心より御待ちしておりました」
きちっとした服装で話す男は、深々とお辞儀をする。
「久しいな。とはいえ我からすれば、ほんの少し前のように感じるが眠りについてからどのくらいたったか、現在の状況を踏まえ報告せよ」
「は! 貴方様がお眠りになられてから150年程の時が経ちました。その間我々が大きく攻めたのは三度、直近では25年前に攻めております。結果から申し上げますと、攻め落とす迄には至っておらず、やはり人族の魔装騎士が障害となっております。攻める度に我々も魔装騎士を殺してはいますが、やはり以前と同様に新たな魔装騎士が生まれているものと思われます」
男は淡々と状況の説明をしていた。説明を受けていた男は静かに聞いていたがやがて口元が上がり、にやけているようだった。
「そうか、それで"リベラリム"よ。今の世で我を楽しませてくれる存在は生まれたんだろうな?」
説明していた男、リベラリムと呼ばれた男は頷く。
「ええ、現在人族の中心となっている者はおります。その者は蒼帝と呼ばれており、私が見る限り過去最高の強さかと、それ以外にも粒揃いのようです。少し前に"エテキス"が戦いましたが、倒せなかったようですし、今の人族は貴方様も楽しめるのではないかと」
「ほう、そうか! ならばこんなところに居ても仕方ないな! 我も是非その者達に会いに行こうではないか! 我を満足させる者がいるか直々に見てみたいのでな!」
男はリベラリムの話を聞き、興奮していた。体からは魔力が溢れだし周囲を震わせていた。
「はぁ… ダメに決まってます。勝手な行動は慎んでください。これまで貴方様の先走った行動で、我々がどれだけ大変だったか忘れたわけではないでしょう? それに貴方様はまだ目覚めたばかりで体の調子も戻っておりませんし、元々貴方様の体は…」
「わかったわかった。だが調子を戻すためにも少し位…」
リベラリムに少し上目使いでお願いしてる男だったが
「ダメです」
一言で一蹴されてしまった。
「ぶーぶー、けち~」
拗ねて、悪態をついてみても
「拗ねてもダメです。それに貴方様もいい年なんですから子供のようなこと仰らないでください。貴方様は我々の上に立つ存在であり、この世界を統べる王なんですから、 はぁ…わかりました。では私が人界に赴いて人族の偵察をして参ります。今後の為激しくはしませんが、力のある者を探してきましょう。その間貴方様が勝手なことをしないように、"シャムレシュルム"に監視させますので、城から出ないでください」
リベラリムは、あまりの不機嫌そうな表情を見て溜め息をつき、妥協案として提案した。
「むぅそうか…仕方ないな。なら必ず強い者を見つけてくるのだぞ! 絶対だからな! よし、では我の忠実なる者リベラリムよ。行ってくるのだ!」
「はっ! 我が王"ギルヴァス"様の名のもとに!」
リベラリムは片膝を付き頭を垂れ、その場から姿を消した。ギリアスは笑顔になり豪快な笑い声を響かせていた。
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