笑って死ねる法律家はいない

じゃけん

第1話 半端者

中間試験が終わった。俺はいい結果など望まない。再補講にならない程度に、怒られない程度に。それが達成できれば、上々だ。

恐らく達成出来ないだろう。補講はギリギリ引っかからなくても、親の理不尽な価値観と常人には理解しがたい教育方針という厄介なものからは逃げられないからだ。殺すか、親元を離れる歳にならなければ。

「24番長塚!お前だぞ!」

俺の番か……「はい」と言って前に出る。

「うーん…微妙」そう言われ見た成績表は確かに微妙だ。上から4分の3ぐらい。補講にはならないだろう。たが……

「今回の成績1位は高田。おめでとう!」

「ありがとうございます。」

すました顔で壇上に上がる。内心嬉しいんだろ?俺らのような劣等種なんて心底見下してるんだろ?あぁ、殺したい。

「今回成績がイマイチかんばしくなかった人は次回のテストでね、今回の反省を活かして頑張ってください。」

お前それしか言えねぇのか。教師歴何年だよ。マニュアル脳が。

急いで荷物をまとめる。

「お前何点だった〜?」

毎度の如く上村が聞いてくる。

「え?64点wwお前は?」

「うっわギリギリやん。マジで目の上の鼻くそだなw」

「今の間違いワザとかよw」

バカ騒ぎしながら下校する。テストの緊張感から放棄されて心が軽い。いや、お互い吹っ切れたのかもしれない。

"何やっても無駄だから次回から努力しなくていい"

心の底でお互いそう思ってるのではないだろうか。実際俺はほとんど勉強などしていない。なんとなく適当にこなしてきた、そんな人間だ。勉強がとてつもなく出来ない奴みたいに伸びしろがある訳でもなく、常に上位を維持するために努力しプライドを守る高田のような人間でもない。1番楽していて、1番悩んでいる人間だと思う。

1番損するのは、優れてるわけでもなく、特別劣ってる訳でもない半端者だと思う。

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笑って死ねる法律家はいない じゃけん @ppt100ntowa

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