エかくから、カミ、ちょーだい!

「おかーさん、カミ、ちょーだい!」


 ぼくがそういうと、おかーさんはノートの1ページをちぎってワたしてくれました!うれしいです!

 でも、おかーさんはとってもクライかおを、しています。

 だからぼくは、おかーさんをエガオにするため、エをかきます。

 おかーさんとおとーさんのエをかきました。

 とってもよくかけてうれしいです!


 どんどんかきたいので、カミをもらいます!

 おかーさんは、どんどん、ノートとか、むずかしいモジがかかれてるカミとか、おもてにドウブツとかハナがかかれたエをやぶります。


「ゆうちゃん、ちぎり絵ってわかる……?こうやって紙をちぎって、のりで貼って一枚の絵をつくるの」


 おかーさんはてんさいです!

 ぼくもマネして、いっぱい、ぺたぺたする、と

 もとからあったもようが、いいかんじになっていいです。

 

 しばらくエをつくってると、だんだんぼくのニガオエみたいになっていって、わくわくしてきました!

 そしたらドアからおとがなって、おとーさんがかえってきました

 ぼくは、すぐにエをみせにイきました。


 でも、エをみたおとーさんは、ものすごくこわいかおで、ぼくのあたまをとてもつよくなぐりました。

 たおれました。いたいです。チがでてます。なんでですか。

 

 おとーさんは、おかーさんのところにいってケンカをはじめました。



「おまえ……いくらなんでもなァ!やっちゃいけないことがあるだろぉ!!!」


「もう限界なのよ……研究だからって嘘ついて、夜な夜な大学の子と不倫してることなんて……わかってんのよおおおおおおおおおお!!」


「はあ、お、おまえどうして……」


「アハハハハハ、わたしばっかり裕介の介護で……ほんとうにどうしてこうなっちゃったのかしらぁ。だいたい、あなたがあのときよそ見運転しなかったら……裕介がこんなバカにならなかったのに……!」


 ぼくはユカでくるしみながら、ふたりのはなしているのをきいて、なんだかこわくなりました。

 どうにかして、げんきにさせないといけません。

 

「おかーさん……おとーさん……おこら……ないで」


 エをかかげました。


「やめてよ……裕介……!あんたはねぇ……もう23歳なのよ……あの交通事故がなかったら、東大を卒業して官僚になるはずだったのよ……」


「うぇ?」


 おかーさんはナニをいっているかわかりません。

 おとーさんもどうしてだまってるんですか。


 ふたりはもうなにもいいませんでした。


 ぼくだけがおおごえでなきました。

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