蒼き乱舞のこれくしょん
@kuronekoya
第0話 序章
20XX年、当初は太平洋や大西洋のどこからか、そしてだんだんと沿岸にも出現するようになった、古代ヴァイキングの船のような敵。
その舳先には、ビキニアーマーを身に着けた美少女が立っていた。
見た目はマンガに出てくる先込め式の大砲のような兵器から謎物質が射出され、世界各国の貨物船が、やがては最新鋭のイージス艦さえ何隻も沈められた。
それらは誰からともなく、いつからともなく、「青霧の海賊船」と呼ばれるようになった。
また、船には種類があり、高速だが小型のもの、相対的に低速だが大型で高火力のもの、更には大砲の代わりに飛翔体を発射するユニットを持つ個体も確認された。
それらは俗称として、駆逐艦、戦艦、空母と呼ばれ、更には比較的小型の戦艦や空母は巡洋艦、軽空母などと分けて呼ばれることもあった。
幸いなことには空母の持つ飛翔体は高高度を飛ぶジェット機までは届かず、人類の制空権こそ奪われなかったが、例えば羽田空港のように海から近い空港では、離着陸を狙った攻撃がなされることも度々あった。
けれども航空機による輸送には限界があり、石油、鉱物、穀物……重く嵩張る物資の輸送は滞ってしまった。
気の遠くなるようなトライアル・アンド・エラーの後、船自体には通常兵器の攻撃は通るものの、舳先に立つ少女――公式名称:演算ユニット、通称:女海賊――を排除できなければ、船が沈むことはなく、それどころかその女性型のユニットの見た目から識別する限り、時間経過で復活することも判ってきた。
各国軍の作戦は、如何にして女性型ユニットを排除するかにシフトしていっていた。
少しわかったことといえば、胸部装甲――ぶっちゃけブラジャーだ――を破壊すると、船自体も含めて攻撃力も防御力も弱まること。
しかし、それだけでは撃沈は敵わないこと。
そんな時……落下傘で駆逐艦に降下し、女海賊を排除する作戦中の某国の海兵隊員が、数と腕力に物を言わせて女海賊を拘束し、R-15では表現できない破廉恥なトコロに手榴弾をねじ込み……爆散させた。
結果、人類初の海賊船轟沈を成し遂げた。
某国はもちろん、世界各国の軍部も国家元首も、揃ってその破廉恥な攻撃方法が有効であることは認めたが、苦いものでも飲み込んだようななんとも言い難い表情でこの件に言及したものだった。
兎にも角にも、通用する攻撃方法はコレしかないため、各国軍の最精鋭たるレンジャー部隊の面々は、落下傘で降下しては、同じくなんとも言い難い表情で女海賊の破廉恥なトコロに手榴弾をねじ込む日々となったのであった。
やがて戦果が上がってくると、もうひとつの情報がもたらされた。
海賊船が轟沈した後には、しばしば『ぐりとぐら』に出てくるような巨大な卵のようなものが浮かんでいること。
X線に超音波、あらゆる手段で検査した後、某国軍が「卵みたいなものなんだし〜」と殻を割ってみたところ、中からティーンエージャーくらいの美少年が出てきた。
下は13歳から上は18歳程度まで、体の大きさこそ様々だが、みな一様に美少年だった。
そして彼らは人語を解し、知性を持ち、驚異的な身体能力――水面に立って浮かぶことができたのだ!――を持ち、何よりもその体液は海賊船への特効をも持っていた。
さらなる研究の結果、彼らのR-15では表現することが
また、彼らの知能、情緒、はおよそ人類と変わるところはなかったが、ただ一点、彼らには生まれつき海賊船及び女海賊への深い憎しみがあることも判明した。
そして……人類は彼らに、基本的人権を与える代わりに、軍属となるよう懇願――と言う名の強制ではあったが――し、世界各国の沿岸各地に彼らのための寮を備えた基地――日本では規模によって鎮守府や泊地と呼んだ――を整備し、彼らにカスタマイズした装備を次々と開発していった。
この物語は、彼ら――海上男士たちの
いずれ編年体にまとめる歴史学者も現れることだろうが、とりあえず後世に各地で発見された日誌、映像その他の記録を、私――自称:審海者――が発見し、まとめた順に発表するものである。
ときに日時や時代が大きく前後する記述もあるだろうが、ご寛恕いただきたい。
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