僕が契約した悪魔はちょっと変わったやつだった

ミンティア

第1話

僕にはちょっと変わった友達がいる。

体が弱い僕は、死ぬ前に願いを叶えたかったが為に悪魔を召喚した。悪魔は言った。

「おまえの願いを三つ叶えてやる。そうしたら、俺の願いを聞け」と。

願いを叶えたあとは、魂とか体を食われるのかと思ってた。小説とかに出てくる悪魔は大体そんな感じだったから拍子抜けしてしまった。

長くは生きられないと分かっていたから呼んだのに。取り敢えず話を聞いてみることにした。


延々と説明を始めた悪魔だったが、要約すると友達がいないらしい。そんなものが死後でも必要なのか?ずっと病室で過ごしてきた僕には友達はおろか、親族ですら滅多にこないのに。そう呟いたら悪魔に憐まれた。悪魔のくせに。

僕の願いを叶えたら、悪魔の友達になること。そして…永遠の時を共に過ごすこと。


それが、悪魔の言う契約だった。生きることに意味なんてないと思っていた僕が生きる?永遠って聞いたとき、想像も付かなかったから悪魔にひとつ質問してみた。

「途中で僕が死んでしまったらどうする?」

「オレが死なない限り、おまえも死ねない。そういう契約だ」

契約書と書かれた紙をヒラヒラと見せびらかしてくる。一番下に書かれていたのは、僕の名前だ。

「ここにサインをすれば契約成立だ。…どうする?やめるか?」

「普通契約しろって言うものじゃないの?」

「いや…その…友達、だろ?そういうのはやっぱ」

まだ友達になった覚えはない。こいつは本当に悪魔なのだろうか。この立派な角と、羽と、尻尾さえなければ多分、悪魔とは誰も思わないだろう。これ以上考えるのはやめた。

悪魔から契約書を奪い取り、紙にペンを走らせる。必要事項を記入して突っ返すと、嬉しそうに顔を輝かせた悪魔が僕の手を取った。

「オレはクロウド、よろしくな!」

「僕は流羽るう…よろしく」

これが、悪魔クロウドとの出会いだった。



契約を交わしたと言っても、すぐに効力が発動するわけではない。願いを全て叶えた時点で契約が成立する。そう念押ししてくるクロウドは、一旦僕の前から姿を消した。

静かになった病室で、今日あった出来事を日記に記した。


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