第2話おかしな悪魔

取り留めのない話を知人達が楽しそうに話しているのを、ベリエルは気怠そうに聞き流していた。輪に入るように何度か話を振られるも、適当に相槌で返す。


 見かねた一人が、半ば呆れ気味に声をかけて来た。




 「ベル、ベリエル! こっちに来て混ざれって」


 「申し訳ありませんが、興味を惹かれないもので」




 仰々ぎょうぎょうしく、腕を胸の前に持っていき、お辞儀までしてみせたベルに、知人達はどう反応すべきか困ったようだ。


 その様子を見て、もう一人がベルを嗜める。




 「反応を見て楽しむのは結構ですが、困らせない様に」


 「忠告どーも」




  面白くねぇな




 ベルは仰向けに寝っ転がり、まっ白な空を見上げる。こんな退屈な日々がこれからも続くのだろう。




  あぁ、だりぃな―




 ぼんやりと思う。


 すると、興味をそそられる話が聞こえてきた。呆れるほど間抜けな悪魔の話。


 その悪魔は、気弱で失敗ばかりを繰り返し、挙げ句の果てには人間に捕まったらしい。そして数十年、逃げ出そうともせず幽閉されているという。


 ベルの好奇心がくすぐられた。跳ね起き、話に割って入る。




 「その話、詳しく聞きてぇんだけど、混ぜろや」




 先程の態度は何処へやら。


 ベルの言動に、知人達は目を丸くした。長い事、ベルが話に加わることがなかったからだ。


 知人達の反応にベルは鋭く目を細める。




 「んだよ?」


 「興味を惹かれないんじゃなかったのか」


 「るっせぇなぁ、細かい事言うなよ。それよりその悪魔の話続けろって」




 こうなったベルは引き下がらないのをよく知っている知人達は、ベルを交えて件の悪魔の話を続けた。


 幽閉されている場所、捕まった経緯、他の悪魔達からも見放されていること、などだ           


 一通り聞き終わると、ベルはす、と立ち上がり、体を伸ばす。




 「面白い情報をサンキュー」


 「ベル、何を考えているのですか?」


 「別にぃ、悪魔話の真相を確かめようとか微塵も」


 「馬鹿な真似だけは控えて下さいよ、規則第……」






 知人の言葉を最後まで聞かずに歩きだす、ベル。


 返事の代わりに、振り返りもせずにひらひらと手を振ってみせる。




 「暇潰しにでもなれば上々」




  白い翼が羽ばたいた。

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