第34話 下着をまた見てしまった先生への罰

「……あっ、あっ、えっと、あの、あの」


 結夢の脚は細い。

 故にしゃがんでいると特に肉が引っ張られるからか、更に細くなる。

 そしてお尻も大きいわけじゃない。寧ろ小さいと思う。

 でも、きっと柔らかいと思う。

 水色と青と白の線が走った下着に覆われた部分と、そこからはみ出した乳肌。

 

 ……そこも、撫でたい。

 やっぱり結夢って、小さいけど脚の細さとか下着の子供らしさとか、肌肉のバランスとか――。

 あと、胸だけは年相応に、お椀型に膨らんでいて、乳輪は思ったより大きくて――。

 

 抱きしめたい。

 触りたい。

 

 

 一閃。

 一瞬そう思った自分を殴る。

 勿論、本気で。

 

 

「れ、礼人、さん……!?」


 ぺしょ、と座り込んで隠した結夢だったが、俺の行動は想定外だったようだ。

 恥じらいに満ちて暴走するはずが、逆に唖然としていた。

 

 やべ。思ったより頭が揺れた。

 頬を殴ったと思ったが、衝撃は顎に掠めていったみたいだ。

 なんだこれ、頭がぐわんぐわんする。

 ああそうだ、結夢に謝らないと。


「ごめん。本当にごめん」

「れ、礼人さん……そ、そんな。自分を殴る程の事じゃ……」

「……一瞬結夢の下着にいやらしい気持ちになった。正直に話して許してもらえるとは思っていない」


 結夢の眼が驚いたように見開かれる。

 それにしても何か急に視力が悪くなったな……。

 

「そうだよな。そんな気持ちで自分を見ていたとか失望物……だよな」

「ふえ……え……あ……え……」


 視界がぐわんぐわんしてきたせいで、結夢の顔が真っ赤なのは分かるが、どういう感情で真っ赤なのかは分からない。

 まあ多分、恥ずかしい方だろう。

 

「とりあえず……殴って済むなら殴ってくれ……まあ、そんなので気が晴れるなんて一昔前のアニメくらいなものだろうけど」

「そん……こと……な」


 あれ? 結夢の声が小さくなったぞ?

 いや、俺が聞きとり辛くなっているだけか?

 

「……俺、今日は寝る……そもそも教師と生徒がこんな時間まで一緒の部屋にいる事自体、ナン……センス……」

「――さん!? 礼人――ん――」


 結夢の声がぼやけてるな。

 というか俺今、何を喋ってるんだろう。

 脳が揺れ過ぎた。もうよくわかんない。

 

「ごめん……俺も結夢と一緒に居てドキドキしていて……でも先生がそんな感情抱いちゃいけなくて……正直今よくわからなくなってるけれど……結夢に迷惑を駆けるようなことは――」

『――!? ――!?』


 あ、もう何も聞こえない。

 眠たいのかどうかさえも分からない、そんな気分に苛まれながらなんだか視野が暗くなっていく。


 やばい。さっきの自分殴った拳、これは完全に入ったわ。

 結夢が手を伸ばしている様な気がするが、もうそんな事さえも気にならないくらいに俺の脳は、思考を停止する事にした――。

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