『ダークな思考並行世界〔最悪の未来シナリオ〕』
世界の終りが来た……いやっ、人類の終りがついにやって来た。
今日も、どこかの国の都市で、熱核のキノコ雲が立ち昇っていた。
オレは闇に堕ちた、日頃から
上昇気流に乗った時の思考と、下降気流に呑み込まれた時の思考は、百八十度の裏表ほど自分でも驚くほど異なっている。
そして、ダークゾーンへの移行スイッチは、ちょっとした出来事や変化がトリガーとなって発動する。
今回のトリガーは、某WEB小説投稿サイトの小説コンテストにエントリーしていた執筆作品が、長編と短編を含めて全滅落選したショックからだった……しかも、読者選考の人気ランキングでの落選。
(日頃から★やPVを獲得している応募作品が、有利な不平等な、クソコンテストだってコトはわかっていたはずじゃないか……忘れろ、ランキング上位陣の中には「この内容で、このランキング評価?」と首を傾げる作品もあったじゃないか……あのコンテストは、真っ当な小説のコンテストじゃない)
全作品の落選を知ってからも、努めて強きに振る舞っていても、心には細かい亀裂が入っていたらしく……日を追うごとに妬み阻止み、憎悪が浸水してきて、イラつきが増大していった。
世界情勢は不安が広がり、数年前から世界中に蔓延していて今だに
天変地異の地震や火山の噴火も人々の気を滅入らせていた。
そして、一ヶ月前に某北の大国がある小国に軍事侵攻を開始したコトは、大きな不安に繋がった。
基本的には人間嫌いなオレは、思わず禁句を口に出して願ってしまった。
「核弾頭のスイッチを押せ! 生物兵器を使用しろ! くたばれ! クソ人類!」
一週間後──某小国に責め込んだ北の大国の指導者は、業を煮やしてついに核の発射ボタンを押してしまった。
『某小国に核弾頭ミサイルが着弾! 被害甚大! 同時に生物兵器を使用した可能性も!』
さらに悪いことに、日頃から新大陸の大国に向けて、大陸間弾道ミサイルを幾度も発射して挑発を繰り返していた東洋の独裁国が。
北の大国に便乗するように、数発の大陸間弾道ミサイルを新大陸の西海岸に着弾させてしまった。
そこからは、転がり落ちるように世界は戦乱の『第三次世界大戦』へと変わった。
北の大国に対する各国の一斉包囲攻撃……東洋の独裁国と、新大陸の大国との有事。
そして戦乱に、巻き込まれていく世界の国々──報復攻撃が、さらなる報復を生み。
ここぞとばかりに、世界各国の新型兵器が導入される。
公園のベンチに座ったオレは、災害時には無料で飲み物を購入できる自動販売機から、大量に確保しておいた缶飲料を飲みながら呟く。
「宇宙からのビーム兵器に、
輸入と輸出は完全にストップして、時間短縮で営業していた店舗も閉店となり。
数件の店が営業しているだけとなった。
店頭の棚は閑散として残っている商品の値段も、品薄の物価高で驚くほどの高値になった。
電気、水道、ガスのライフラインは計画停電や計画断水が実施され。
運行を停止した公共交通のバスや電車や大型船舶、駅や空港やバスターミナル。
学校や体育館などの大型施設は、すべて避難所か野戦病院として流用された。
仕事も無くなった。
高騰を続けるガソリン代で走行している車両も減った。
オレの車も残っていた最後のガソリンを使って、いつも癒されていたこの公園までやってきた──オレはこの公園で、青空を眺めながら、人類最後の時を楽しむつもりだ。
「人類の最初は見れなかったから、人類の最後が見れるのはラッキーかも知れないな」
店から略奪してきた、賞味期限を過ぎたスナック菓子を食べながら。
読書をする、インターネット回線は壊滅状態で機能していない。
「いつごろからかな? 戦乱のニュースが主体になって、新型コロナの感染者数のニュースを聞かなくなったのは?」
どこかのパカな国が使った生物兵器が、コロナウィルスと融合して、さらなる凶悪なウィルス変異を引き起こして世界に広がりつつあると聞いた──最悪の人類滅亡のシナリオだ。
オレは、肩や髪に付着した微量の核の灰を手で払う。以前は恐怖して気にしていたが……車体や衣服にも払っても、払っても付着してくる死の灰に正直、どうでも良くなっていた。
髪を撫でたら、大量の抜けた髪が指の間に絡まってきた。
(また、今日は抜け毛が多いな)
オレは以前、ブラシに付着した大量の頭髪に悲鳴を発する若い女性を見たコトがある……あの女……死んだかな?
子供も老人も、
女も男も、
裕福な者も貧困な者も、
健康な者も病気の者も、
才能がある者も無能な者も、
未来に夢を抱いている者も虚無な心の者も。
戦争が与える死は平等だ。
「安易すぎる異世界転生ラノベを書いていた作家も、この戦争で亡くなったら異世界に転生するのかな?」
放射能が混じった黒いにわか雨が、ポツリボツリと降ってきた。
オレは、近くに咲いている季節の花に癒される。
(動植物は強いな……戦時下なんて関係ない、弱いのは人類だけか)
頭上を数発の大型ミサイルが飛んでいくのが見えた。
数分か数分後に、どこかの町や市に着弾するか、宇宙からの自動追尾ビームで迎撃されるかのどちらかだろう。
オレは呟いて現実化させてしまった、思考力を悔やんではいない。
「クソ人類! くたばれやがれ! ざまぁぁぁ」
◇◇◇◇◇◇◇
「ふぅ、書き終えた……カクヨムに投稿して、ポチッと公開……と、言いたいこと書いたらスッキリした、小説の内容が現実化しませんように」
~おわり~
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