螺旋の調べ

@torajya

(プロローグ)古の竜は眠る

 永きにわたる時の中、その竜は眠っていた。

 正確に言えば竜にとって睡眠は必要がないものなので、活動を休止していた、いやせざるを得なかったと言った方が正しい。

 時々覚醒してみては周囲を探ってみたものの、特に変化はなく、ただ石となった自分を再確認するだけだった。


 やがて大地が汚染され、精霊の気配が減じ、人類が空でしか暮らせなくなった頃になっても、やはり竜は石のままだった。

 「ヒマじゃのう…ワシ、いつまでこのままなんじゃろうか?」

 叡智を備え無限の寿命を有すると言っても、何の因果か石となってしまえば無力。辛抱強く来るべき時を待つしか、できることはなかった。

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