閑話 蒼い薔薇について
「蒼い薔薇」という名前について、知っておくと楽しい裏話です。
現実的な話が中心になります。
ざっくり言うと、赤いバラと白いバラの間で子どもを作れば、ピンクのバラが出来上がるのですが。バラには青色の成分がありません。
薄い色を濃くしていくことはできても、色素がゼロではどうにもなりません。
だから青いバラを作るのは無理だと言われていました。
例えるなら。
薄い塩水を蒸発させて、塩分を濃くすることはできる。
しかし真水を蒸発させても、真水は真水のまま。
青いバラを作ろうとするのは、真水から海水を作るようなチャレンジです。
そんなわけで青いバラの花言葉は「不可能」、「あり得ない」になっていました。
世界の様々な国に、青いバラを「不可能」の象徴にしている童話や逸話がありますし。
英語でブルーローズと言えば直球です。
和訳すると、あり得ない(不可能)という意味になります。
一番古そうなところだと。ギリシャ神話ができた頃には、「青いバラなんてこの世に存在しない」と言われていたそうです。
ギリシャ神話ができた辺りから数えてみれば。
紀元前15世紀から、21世紀までの3500年間。
青いバラを作り出すことは、不可能だと思われてきました。
話が変わってくるのは、二十世紀末あたりから。
遺伝子組み換えの技術を使い、他の花の遺伝子をバラに打ち込むことで。人工的な青いバラを作ることに成功します。
1990年辺りに研究を始めて、完成までに14年の歳月がかかったそうです。
現代の技術力でもそれくらいの時間と労力がかかっていますし。この時点での青いバラは、完璧な青色ではなく青紫のような色です。
それでも数千年「不可能」だった歴史を覆したことで、花言葉が変わりました。
現在では花言葉が「奇跡」、「夢叶う」、「神の祝福」に書き換えられています。
狭き門、不可能だと思われた貴族への返り咲き。
夢を叶えた蒼い薔薇の面々が辿った道は、花言葉の通りです。
ついでにメンバーの人生や性格も、各自のモチーフになった花の、花言葉に近いものになっていたりします。
ではここで、遺伝子組み換えに頼らない場合はどうでしょう。
他の花の遺伝子をバラにぶち込むのは力技すぎる。
品種改良。どうにかバラの組み合わせを変えて、青いバラが作れないか。
その考え自体は昔からありましたし、試みは現在まで続いています。
で、色々試してみたら。
バラから赤い色素を抜いていくと、それなりに青く見えるようになってきました。
より青紫の方向を目指してみたり。グレーに近づけることでより青く見えるようにしたりと。無数の品種が生まれます。
そして研究は進むもので、「今まで発見できていなかったが。種類によってはバラにも青い色素はある」という発表がありました。
その薄い色素を積み重ねて、代を重ねて濃くしていけば。
いずれは天然自然で完璧に青いバラも生まれるのでは。そんな期待が持たれます。
研究が発表された時点で、一番青く見えると評判だった品種にも青の色素が見つかったのですが。
そのバラは「青龍」と言います。
青龍という品種のバラに、青の色素が見つかりました。
そうです、人間との間に子どもを授かるというミラクルを成し遂げているのですから、彼女も不可能を可能にした存在です。
彼女は花をモチーフにした名前ではありませんが。そういった方向から意味が重なってきたりします。
以上。登場人物と、花の逸話に関するお話でした。
説明はざっくりしたものですし、適当な部分もあります。
青いバラの話は結構ロマンに溢れていますが、これ以上詳しく説明すると難しすぎますし。省略すると本当に適当になるので、この辺で。
そもそも「青龍」が持つ青の色素は劣性遺伝(今だと潜性遺伝?)で、品種改良が難しかったり。花粉の量が少なくて、量産の難易度が高いらしいです。
完璧な青いバラができるのは、まだまだ先の話かもしれません。
(もしこの閑話を、花に詳しい方や専門家の方がお読みになって、「説明が全然違うじゃないか!」 というご意見をいただきましたら、すぐに書き直します)
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