無職と鑑定された俺は廃嫡され伯爵家を追放された。 なんてことは無かった。
メリーさん
第1話 廃嫡、追放。
イデカ大陸西部にあるプレテン王国。
ここでは落ちこぼれの貴族子息が追放されたり、浮気しておいてなお、厚顔無恥に婚約破棄するという、人情ってもんがありゃしない冷たい一大ムーブメントがあった!!!
そしてとある伯爵家嫡男の男の子もまた、追放の危機にあった…!!!
「馬鹿な!僕が___だと!?神父さん間違ってないのか!?」
中性的な美しい容姿を歪ませながら齢10になった少年【ジード・ヨシナーカ】は神父に問いただす。
「え、えぇ…まさか貴族様に___を授かるものがいるとは…私も長年鑑定の儀を承っておりますが初めてのことです…」
この世界では10歳になった子供はテンプレートよろしく女神様から天職を授かり、女神様の気分次第で人生がかなり左右される。
貴族社会では天職が名刺のようになっており、社交界では2chもびっくりのマウントの取り合いが起きていた!!
ヨシナーカ伯爵家の嫡男として、貴族に恥じない天職を授からなければならないと思っていたジードにまさかの青天の霹靂!!
彼は…
「ジード様は……無職であられます。フフッ」
「嘘だァァァァァ!!!!」
無職だった(笑)
説明しよう!!!プレテン王国では天職差別が激しく、平民でも無職の者は激しい差別を受けるぞ!!!
村からは迫害され、仕事も見つからない!!
周りからどんなに酷い扱いを受けても、同情して助けてくれる美少女もいなければ、都合よく覚醒するようなことも無い!!
普通にプー太郎だ!!!
しかしながら、もちろんあくまで適性が無職なだけで努力すれば人並みにはできるようにはなるはずだ!!!
頑張れジード!!!未来は自分で切り開くのだ!!!
「ま、不味い。父上と母上にバレたら確実に追放される。去年ルイーワ侯爵家の嫡男も追放されたって言ってたしなぁ……」
項垂れながら両親の待つ馬車へ向かうジード。
教会をでると美しい容姿の男女が居た。言うまでもなく両親である。
「あら、あなたジードちゃんが来たわよ!」
「おぉ!ジード私の宝石よ!天職はなんだった!?勇者か?英雄か?それとも魔王か!?」
キツい。親の期待がジードの両肩にのしかかる。
この両親、幼い頃からいわゆる親ばかで、デロデロに甘やかしてくるのだ!!
しかし、それもあってジードは家族を愛していた。期待に応えようと今まで努力もしてきた。そのため、無職だと伝え失望されたらと思うと身も心も凍えてしまいそうだ。
嫌だ。しかし言うしかない。ジードは口を開いた。
「父上……母上……親不孝な、息子で申し訳ありません。ぼっ、僕は天職を授かることが…うぅ出来ませんでした……」
涙がこぼれないように堪えてるつもりで。しかしながらジードは両の眼から涙を滝のように流しながら両親に抱きついた。
「あらあらまぁまぁ」
「まさか無職か?」
「うぅ…ごべんなさいぃぃ」
今日、ジードの命運は尽きた!!!他の無職がされたように迫害され、寂しく生きていく日々が始まる!!
「ジードちゃんは廃嫡します。」
「あぁそうだな。デレツン公爵令嬢との婚約も破棄だ。」
「うぅ…はい。今までありがとうございました。追放されたとしても父上と母上への恩は忘れません…」
さぁ立ち上がれジード!!理不尽に……無職と言うだけで迫害されてきたもの達のために旅立つのだ!!
覚醒の時は近い!!同じように迫害された美少女を助けて……下半身の赴くままにハーレムを作り……ざまぁを…テンプレを見せてくれ!!!
「?何言ってるのかしらジードちゃんは。追放なんてする訳ないじゃない。」
「あぁ全くだ。あぁ!もしかしてジョークかい?フフ、君に似てジョークも上手いとはね愛しの妻フーフよ。」
「あらあら貴方もとってもジョークが上手よゾーカク。そういうところも愛してるんだもの。」
おや?
「父上?母上?僕は追放されるのでは無いのですか?」
「あらあらジードちゃんたら。私達の可愛いジードちゃんをたかが無職ってだけで追放するわけないじゃない。」
「あぁ全くだ。無職だと貴族社会では辛い思いをするだろうからな。大丈夫だ。私が家族を守って見せるさ。だから安心して家でゆっくり過ごしなさい。いつかやりたいことを見つけたらその時はパパに教えてくれ。」
この両親。デロデロに甘やかしてくるのだ!!!
どうするジードこのままではヒモまっしぐらだ!!!
絶体絶命の危機を乗り越えたジード。しかし彼の試練はまだ入口に入っただけだった。迫り来る悪意。這いよる混沌。彼は王国の闇を暴き家族を守ることが出来るのか。
次回「幼馴染、襲来」
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