03

「だから、あなたに魔法をかけてあげる」


 魔法。


「生きることにつかれて、なにかを諦めようとしてるあなたに。せいいっぱいの、想いを込めて」


 彼。こちらをまだ、見ているのだろうか。わからない。


「飲み物を、どうぞ」


 言われた通り。


 飲み物を、手に取る。


 缶のふたを開けようとして。


 それに。


 気付いた。ふたに挟まっている。


「あなたへの、贈り物です。結婚しようか?」


 指輪。


 沈みはじめた夕陽に照らされて。ちいさく輝いている。

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