お料理のシーンが素敵で温かく、素敵なテンポで紡がれる言葉の数々。雨や鈴の音。作者の優しい思いと世界を映し出す、まるで香りまで漂うような情景描写。雨上がりの日に読みたい。すぐにではなくゆっくりと。そう心に決めざるを得ない物語です。
少し不思議な話ですが、表現がとても優しいお話。この小説が醸し出している雰囲気もふんわりと優しいです。また言葉の運び方が美しくリズム性があって読みやすい作品です。読者を惹き寄せる力があるのではないか、と思います。優しく神秘的で美しい小説です。この作品を読んだ後は自分自身も優しい気持ちになれているような気さえします。